白熱のレオピン!〜第4回レオピンカップ観戦記①

  • アンプティサッカー

初夏の王者を決める戦い、Copa Amputee!

大阪・梅田、AM6:00。

夜明け前から続く土砂降りの中、私は梅田モータープールへ降り立っていました。横浜から高速バスで約8時間の道のり。決して快適ではない車内でしたが、これから始まる2日間の熱い戦いを想像するとそれも気にならず。去年10月の日本選手権以来のアンプティサッカー観戦に、カメラ機材を抱えたまま胸を躍らせていました。

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会場となる「鶴見緑地球技場」へは大阪駅から乗り継いで約30分ほど。昨年、電動車椅子サッカー観戦のために大阪を訪れていますが、その時の記憶もあって道に迷うこともなく、ブレックファーストを済ませる余裕すら持ちながら、早めに会場に着くことができました。時間はAM9:30を少し回ったところ。遠めに見えてきたスタジアムからは、音響チェックのためのFIFAアンセムチャンピオンズリーグアンセムが鳴り響き、否が応でも期待感が高まります。私も取材申請受付を済ませ、PRESSビブスを受け取って会場内へ。

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鶴見緑地球技場は、周囲にさえぎるものもなく、とても広々として気持ちの良いスタジアム。ここで毎年、レオピンカップは開催されています。

フィールドにはすでに選手たちが集まっていて、開会式を待っていました。皆一様に、心なしか落ち着かない表情を浮かべています。その中には、今回千葉・北海道と合同チームとして出場する埼玉のFC ONETOPの選手の姿も。

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去年は所属選手がたった「1名」で、その行く末が密かに気になっていたFC ONETOP。今年に入って新たに4名の新戦力が加入。単独チームでの出場こそなりませんでしたが、フルメンバーでの大阪凱旋を果たしました(ちなみに4月に練習参加してきたのですが、その時の模様は別の機会に)。この日のためにユニフォームを間に合わせてきたFC ONETOPの選手たち。真新しいユニフォームに袖を通す瞬間は、格別でしょうね!

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AM10:15夜明け前から続いた雨も、少しずつ小降りになってきて、フィールドに水が溜まる様子もなさそう。開始時間が押したためか、開会セレモニーは短縮バージョンに。開会の挨拶もそこそこに、第一試合の準備が慌ただしく始まります。

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今回は全6チーム(うち2チームは合同チーム)、約90名近い選手がエントリーし、シーズン上半期の王者の座を賭けて争います。第三回大会優勝のFC九州バイラオールと、昨秋の日本選手権で優勝したFCアウボラーダ。そこへ、常に2チームの後塵を拝してきた地元開催の関西セッチ・エストレーラスが隙を窺う構図です。そしてその関西セッチ・エストレーラスは、グループリーグ初戦で昨年王者FC九州バイラオールといきなりの激突です。

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チームの意地がぶつかり合う、グループA

グループAに属する3チームは、全て単独チームでのエントリー。文字通りチームのプライドがぶつかり合う、タフな展開が期待できそうです。

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第一試合はディフェンディングチャンピオンであるFC九州バイラオールの初戦。相手は難敵、関西セッチエストレーラス。近年のレオピンカップ&日本選手権では共に3位が定位置となってはいるものの、優勝するだけの力を十分備えたチームです。今大会の行方を左右する初戦、邪魔な雨も止みました。さあ、運命のキックオフです。

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前半前半はFC九州バイラオール(以下バイラオール)からのキックオフ。まず最初にチャンスを作ったのはバイラオールでした。素早いパスの回しから、ファーストシュートを放つ9#野間口圭介選手。対する関西セッチエストレーラス(以下関西セッチ)は25#川西健太選手を軸とした攻勢を仕掛けます。

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試合開始からそれほど時間が経っていないせいか、どことなく試合に入りきれていないバイラオールは、9#野間口選手、11#星川誠選手がうまいポジショニングと素早いドリブルで単発的に攻撃を仕掛けますが実らず。逆に、関西セッチのカウンターを喰らいます。

前半5分、関西セッチGK 23#北波直人選手のゴールキックは、5#田中啓史選手を経由して前線左に展開した7#福留義弘選手へ。

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7#福留選手のシュートは阻まれますが、そのこぼれ球を再び拾った5#田中選手。今度は逆サイドでフリーになっていた、キャプテン19#冨岡忠幸選手へパスを送ります。しかし、この時バイラオールDF陣はシュートを阻止に行かず、なぜかボールウォッチャーに。19#冨岡選手の目の前には、シュートを打てる十分なスペースがぽっかり。

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間髪入れず右足を振り抜く19#冨岡選手。放たれたシュートは1#東幸弘選手の手をすり抜け、ゴール左上隅へ!この試合、先制点を奪ったのは、挑戦者の関西セッチでした。たまらずタイムアウトをとるバイラオール。

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その後もルーズボールを拾い続ける関西セッチペースで試合は進みます。逆にバイラオールは守備に追われ、反撃に出ることができません。何度か危うい場面を乗り切ったバイラオールでしたが、その後もプレーに精彩を欠きます。そして前半13分、GK1#東選手のパントキック5#田中選手に渡るミスキックに。

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そのままゴール前まで持ち込んだ5#田中選手のラストパスの先にいたのは、またしてもキャプテン、19#冨岡選手でした。グラウンダーのパスに見事に合わせてシュート!!この日2ゴール目となる貴重な追加点をモノにします。

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前大会王者はおおよそらしくないプレーを見せ、前半のうちに窮地に追い込まれてしまいます。反撃を試みるバイラオールは、9#野間口選手を中心に立て続けに攻めますが、関西セッチのカウンターに遭い、本来の攻撃力を発揮できません。25#川西選手、19#冨岡選手が畳み掛けるように仕掛けます。

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守っては17#飯倉喜博選手、18#川村大聖選手が攻撃の芽を摘み取ります。

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なんとかこれ以上の失点を防いで前半を終えたバイラオール。しかし、前回王者の面影はそこになく、ほぼ「完敗」と言っていいほどの出来でした。

後半ベンチの中心で腕を組み、何を思うかキャプテン7#加藤選手。

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ハーフタイムをフルに使い、立て直しの策を練ったバイラオールは、前半とは別のチームのように、後半開始から本来の躍動感あふれる攻めを見せます。11#星川選手が前半以上に攻め上がると…

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6#松田選手もインターセプトからキレのあるドリブルと、攻撃にアクセントを加えることで、試合の流れを変え始めました。

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前半に先制点となるシュートを許した初出場の3#前島選手も、だんだんと25#川西選手の動きに慣れてきて、しっかり食らいついていきます。

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パフォーマンスが格段に上がったバイラオールは、関西セッチに攻撃のチャンスを与えません。7#加藤選手の絶妙なヒールキックで、GK23#北波選手をひやりとさせるシーンも。逆に、関西セッチの攻撃は単発となり、プレイの精度も徐々に落ち始めます。

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それでも関西セッチは、バイラオールの二度目のタイムアウトで息を吹き返したか、25#川西選手のテクニックで持ち直し始めると、カウンターの応酬の様相に。面白い試合展開になってきました。

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関西セッチは疲労の見えた18#川村選手をベンチに下げ、8#辻選手を送り込みます。他の選手も疲労の色が見え、だんだんと動きが鈍る関西セッチ。

f:id:okina_monkparakeet:20170520023557j:plainそれを見逃さないバイラオールは、逃げ切りを図る関西セッチを押し込み、とにかく1点を返そうと怒涛の猛攻を仕掛けますが、すでに遅すぎました。

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試合は2-0で終了。前回王者バイラオールは、前半の低調なパフォーマンスが響きまさかの敗戦。チームのエース、10#萱島比呂選手を最後まで起用しなかったことが影響したのかもしれません。怪我なのかコンディション不良か、今後に不安を残しました。一方で昨秋の日本選手権でバイラオール相手に3-4と善戦し、射程圏内に捉えていた関西セッチは、苦難の末についに掴んだ初勝利となりました。

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この試合、パラキートの印象に残った選手(MPP:Most parakeet player)は19#冨岡選手。前回王者相手の鮮やかな2得点はさすがキャプテンといったところ。そしてもう一人のキャプテン、バイラオール7#加藤選手。劣勢ながら、後半はまるで別のチームのようなV字回復ぶりを見せたのは、ベンチでの采配も含めた7#加藤選手の手腕ではないでしょうか?※MPPは私の独断と偏見です。年間最優秀MPPを獲っても賞金はありませんw

 第四回レオピンカップ注目の初戦は、二強以外のチームが確実に力をつけていることを裏付ける意味でも、興味深い戦いとなりました。さあ、この後も白熱の対戦カードが目白押しです!

②へ続く

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「パラキートのパラスポーツ日記」では、一人の障害者サッカーファン「パラキート」が自分の脚でおもむき、自分の目で観て、自分の耳で捉え、自分の指で撮り、自分の頭で考えたママを発信していきます。

記事を通して、競技を取り巻く人・環境・社会問題に触れ、この魅力的な世界に関心を寄せ、寄り添ってくださる方が増えることを願っています。

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『"Pick"=掴み取る、選ぶ」と「"Phat"=格好いい、イカした』を組み合わせた造語を屋号に掲げる「PickPhat」。クライアントの意思を尊重し、選び抜いてイカしたサイトをクライアントと共に作り上げます。代表の加藤高明氏は電動車椅子サッカーチーム「Yokohama BayDream」の選手としても活躍中。

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