- アンプティサッカー
FC九州バイラオール2連覇なるか、頂点を決める一戦!
午後3時、それまで汗ばむくらいの陽光が照りつけていたスタジアムも、
日が傾いてだいぶ涼しくなり、またピッチにも選手たちの長い影が落ちはじめました。
エキシビションの和やかな雰囲気から一点、観客席にはいつの間にか大勢の観客が。
そして観覧席にはセルジオ越後氏 (日本アンプティサッカー協会最高顧問)、
武田 信平氏 (日本アンプティサッカー協会理事長)、
北澤豪氏(日本障害者サッカー連盟会長)、
そして、田嶋幸三氏(日本サッカー協会【JFA】会長)の姿がありました。
いよいよ決勝です。
鮮やかなサックスブルーのユニフォームが、過去5大会すべてに出場し、
優勝2回、準優勝3回を誇る九州の雄、FC九州バイラオール。
FC九州バイラオール | 九州のアンプティサッカーチーム FC九州バイラオールのページです
2014年に開催されたアンプティサッカーW杯メキシコ大会で、
日本代表選手を実に4人も送り出している
アンプティサッカー創成期(2010年日本アンプティサッカー協会発足)からの強豪。
2015年に引き続いて2連覇がかかる大事な一戦を迎えます。
そして、白地に赤い襟が鮮やかに映えるユニフォームは、
アンプティサッカーを日本に初めて持ち込んだ文字通りの伝道師、
エンヒッキ・松茂良(まつもら)・ジアス選手の所属するFCアウボラーダ川崎。
日本選手権は過去3大会出場、うち優勝1回、準優勝2回。
W杯メキシコ大会ではなんと5人の日本代表選手を輩出。
その中には、前述のエンヒッキ選手のほか、
アンプティサッカーW杯に3回連続で代表選出された新井選手が所属しています。
日本選手権では2回、決勝の舞台で顔を合わせていますが、
もう一つのアンプティサッカーの公式戦であるレオピン杯Copa Amputee
(毎年5月開催)でも決勝で激突する2大クラブとなっています。
2チーム合わせて代表選手9人、お互いの手は知り尽くしているであろう
2チームの、ガチの勝負が始まります!
前半は
FCアウボラーダのキックオフで始まった前半直後は、様子を伺う
静かな立ち上がりでしたが、アウボラーダの楔が入った次の瞬間…
13番 岩崎正幸選手の強烈なファーストシュート!これはバーを逸れます。
その直後、FC九州バイラオールのGK 1# 東幸宏選手のパントキックは
アウボラーダのゴール前で待ち構えていた11#星川誠選手のもとへ。
ボレーを選択した星川選手を、アウボラーダのGK21#長野哲也選手が阻止!
後ろから追っていたアウボラーダ5#遠藤好彦選手と3人が激しく交錯。
その衝撃は音が観客席まで響くほどでした。
危険なプレイではありましたが、アンプティサッカー最大の魅力は
このアクロバティックなプレイです(怪我には気をつけてほしいです)!
FCアウボラーダがボールを持ち上げ、FC九州バイラオールがカットして
カウンターに持ち込む構図が何度か続きます。
前半、FC九州バイラオールの推進力となったのが、10#萱島比呂選手。
日本代表のエースナンバーは、素早い駆け上がりと迫力のドリブル力で
幾度も相手陣営を切り裂き、萎縮させます。
特に前半12分〜14分の一連のプレイは、相手を自陣に釘付けにし続けました。
コーナーキック2本、ファウルのチャンスも作り出す活躍。
ドリブル突破でチャンスを演出すると、コーナーキックからも強烈なシュート!
しかしそのイケイケムードを狙っていたのか、この直後に攻撃の間隙を縫って、
FCアウボラーダ10#エンヒッキ選手が凄まじいスピードとテクニックで
単身切り込みシュート!FCバイラオールを調子に乗らせません。
華麗なテクニックを見せるエンヒッキ選手。大きな歓声が沸き起こります。
相手のミスを拾い、強烈なカウンターを見舞うFCバイラオール7番加藤誠選手!
一進一退の攻防が続きます。
ついに試合動く!先制はFCバイラオール!
そして前半21分、ついに試合は動きました。
GK長野のロングフィードを受けた7#加藤選手からゴール前の
FC九州バイラオール6#DF松田隆洋選手とつないで、
最後はFC九州バイラオール9#ストライカー野間口圭介選手が叩き込む!
日本代表コンビ9#野間口選手&7#加藤選手と6#松田選手の息のあったプレイが、
FC九州バイラオールに先制点をもたらしました。
反撃に出たいFCアウボラーダも、冷静なパス回しと#10エンヒッキ選手の
個人技や超絶FKで決定機をつくりますが、得点には至らず。
逆にFC九州バイラオールもカウンターの機会をうかがい続けます。
そしてホイッスル。前半戦は昨年王者、FC九州バイラオールが先制で折り返しました。
さらに加熱する後半戦。予測のつかない攻防が続く!
後半も主導権はFC九州バイラオール。
開始早々、FKのチャンスに重いシュートを放つ7#加藤選手。
枠をとらえたボールを弾くGK。鈍い音が響き渡ります。
その直後、一瞬の隙をとらえた#10エンヒッキ選手が猛烈な駆け上がり!
しかし10#萱島選手がそれを阻止しボールを奪取する!
10番同士のマッチアップは後半に入るとさらにヒート!
6#松田選手が詰めて10#萱島選手が拾い、スピードで仕掛ける。
常に互いにプレスを掛け合いボールを奪取しあう展開になります。
10#萱島選手、とにかくパスカットしまくってます!!そして速い!
11#星川選手はドリブルを仕掛けて2人を置き去りに!
ところがこのあと判定はシミュレーション※を取られイエローカードに…。
チャレンジが素晴らしかったので、カードはちょっと疑問でした。
【解説】シミュレーション:わざと転倒する行為、審判を欺く行為
FCアウボラーダが牙をむいた!
そしてここから少しずつ流れがFCアウボラーダへと変わってきます。
後半15分、13#岩崎正幸選手の渾身のシュート。これは阻まれます。
後半17分、10#エンヒッキ選手のドリブル突破。DF2人でも止められず、
たまらず引き倒してしまう10#萱島選手。
そして直後のCKはコーナーポストを直撃!
早く追いつきたいFCアウボラーダの畳み掛ける攻撃が止まりません。そして…!
FCアウボラーダ6#細谷通選手のFKから、GKのこぼれ球に素早く反応したのは
#10エンヒッキ選手!!
抑えめのシュートはゴールに吸い込まれ、ついに同点に追いつきます!!
祝福しあうFCアウボラーダのメンバー。しかしすぐに険しい表情へ戻ります。
残り8分、試合は振り出しに戻ったばかりなのです。
「はい!バイラこっからあ!!バイラこっからあ!!」の声援が響き渡る!
その後も、それぞれの選手がしっかりと役割を果たしながら
最後の笛がなるまでボールを追いかけ続ける!
10番が10番に追いすがる!
意地と意地が真正面からぶつかり合う、息呑む8分間が過ぎ、
そして、後半終了を告げる笛が鳴り響きます。
王者同士の対決は、観る側には理想的とも呼べる白熱の展開へ。
いよいよ勝者が決まる、前後半10分ハーフの延長戦に突入します!
⑤へ続く