世界と肩を並べるまでに成長した日本アンプティサッカー
昨年10月、遠くメキシコの地で世界の列強相手に躍動したアンプティサッカー日本代表。その舞台となった「アンプティサッカーワールドカップ2018メキシコ大会」では、出場22か国中過去最高位となる10位という成績を残し、日本で始まってから約10年を迎えようとしている日本アンプティサッカーの現在位置と、着実な成長ぶりを私たちに見せてくれました(写真は日本代表直前合宿より)。
ワールドカップの盛り上がりの中、メディアでの露出も増え、また若くして実力を備えた選手たちが活躍を見せ始めるなど、明るいニュースの多い2018年でした。
一方で、問題も山積しています。現在国内には9チームが活動しており、約100人ほどの競技人口がいますが、国内の競技環境が十分整っているとは言えません。また近年10代半ばの若年層が増加傾向にありますが、全体的に見ると平均年齢は高い傾向にあり、競技存続のため新たな選手の発掘は喫緊の課題です。海外の様子を見てみると、トルコでリーグ戦が開催され数万人の観客が集まるなど、特にヨーロッパでは競技が盛んに行われています。また今回のワールドカップで初優勝したアンゴラをはじめとするアフリカでも、少しずつ認知が広まってきました。近年アジアでも、タイやシンガポールなどでチームが誕生し、世界的な広がりを見せつつあります。
未来を見据えたリーグ戦
その潮流に乗り、アンプティサッカー強国となるために、日本も動き始めました。それが「東日本アンプティサッカーリーグ」の開催。真剣勝負の機会を増やし選手のレベルの底上げを図ること、そして観戦機会を増やすことを目的に、リーグ戦開催が発表されました。
「第1回東日本アンプティサッカーリーグ2018」開催のお知らせ | 日本アンプティサッカー協会東日本リーグは、単にチームの優劣を競うのが目的ではなく、チーム力強化の機会を作ることに主眼が置かれていると言えます。
リーグ戦の利点1:戦術分析をし次戦につなげることができる
短期決戦で終わってしまう予選リーグ&決勝トーナメント形式と違い、試合が終わった後1ヶ月間じっくりと戦術分析をし練習で次戦に向けての対策ができることは、チームの弱点を確認し修正していくリカバリー力と分析力向上につながります。
リーグ戦の利点2:新しいオプションを試すことができる
リーグ戦では、一発勝負のトーナメントでは試せないことを試すことができる、という利点があります。例えばポジション変更や新戦力の確認も、リーグ戦であれば試すことができます。半年に1度の主要大会では出場機会が限られる選手も、リーグ戦では機会を得られる可能性が高まります。
リーグ戦の利点3:選手・チームのモチベーションが上がる
強化に主眼を置くとは言え、リーグ戦は勝負事。もちろん勝つことが目的の一つでもあります。天候、選手、ピッチの変化。リーグ戦は様々な要素が複雑に絡むため、どのチームにも優勝の可能性があります。優勝経験のないチームにとって、大きなモチベーションになることは間違いありません。そして練習では経験できない、本気の競合いや駆け引きを学ぶことができることも、選手のモチベーションアップに欠かせません。
リーグ戦の利点4:対外的な露出の機会が増える
観戦の機会は年に2回、しかもそれぞれ2日間の開催では競技の露出機会としては多くありません。しかしリーグ戦が開催されればその機会は増えます。現在は1〜3月開催のみが決まっていますが、仮に秋冬開催が決まれば年間で計6回も観戦の機会が増えることになります。すでに定期リーグ戦を導入しているブラインドサッカーは、毎節ごとに多くのファンが声援を送っています。数年後、アンプティサッカーでも同様の光景が見られるかもしれません。