真っ直ぐに〜第1回ソーシャルフットボール地域選抜大会激闘録②

  • サッカーの現場から

※注意:この記事は2018年12月に公開したものを再構成し直したものです。

大会を左右する両雄の対戦

東海選抜と東北選抜は、前の試合が終わるとすぐにアリーナに入り、入れ替わる間も無くウォーミングアップを開始。今大会の行方を左右する、実力拮抗のチーム対決とあって、観客席からも多くの人がその行く末を見守ります。

グループA 第2試合 東海選抜 vs 東北選抜

青いユニフォームの東海選抜。前月に開催されたガンバ大阪スカンビオカップで、無敗の強豪Espacio(千葉)をPK戦の末に破り、土をつけたエストレージャ愛知(愛知県)のメンバーが主軸。気合十分です。

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指揮官は、張り詰めた空気を身にまとう東海選抜・並河勇志監督。

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対するは白と黒のユニフォームの東北選抜、通称「グランゼーレ東北」。こちらも昨年のガンバ大阪スカンビオカップ決勝まで勝ち上がった強豪。全国規模の大会には久しぶりの登場です。

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率いるは、チームを和ませ盛り上げる東北選抜・小笠原央士監督。対照的な監督同士の対決です。

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その東北選抜のベンチで戦況を見つめていた、一人のスタッフの姿が目にとまりました。昨年の愛媛での全国大会で、パラキートが所属するFC PORTと対戦した「リベルダージ北海道」の北川修コーチ。

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リベルダージ北海道は、東北にチームができた当初からサポートし続けてきた、いわば兄弟のような間柄。出場辞退を決めてからも、東北選抜をサポートするために度々東北を訪問し、今大会にもコーチとして北川氏が帯同していました。

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災害や様々な事情が重なり不参加となった北海道選抜。北川コーチは特別な気持ちを抱いて大会に臨んでいました。そして選手たちもまた、出場できなかったリベルダージ北海道の仲間たちのためにも、勝利を目指します。

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前半

東北選抜の持ち味は組織力、そして先読みの速さ。東海選抜のロングパスをことごとくカットし、カウンターを仕掛けます。

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しかし29#永吉敦夫選手らの懸命の守備に阻まれ、フィニッシュに持ち込めません。

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東海選抜も極力少ない手数で攻め立て、前にスペースが開けばとにかくシュートを放ちます。ひたすら真っ直ぐに、激しい打ち合い。目まぐるしく攻守が入れ替わります。

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そして、前半2分に東海選抜の思惑がハマります。25#小林宗太郎選手のミドルレンジからのシュートをGKが弾いたところをを押し込み、東海選抜が先制!

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その後もシュートの雨を浴びせ続ける東海選抜でしたが、東北選抜の守護神17#秋田谷圭一選手がファインセーブを連発、少しずつ盛り返し始めます。

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しかし前半5分、点を決めたのは東海選抜でした。リスタート直後のルーズになった隙をついた99#三條佑真選手のミドルシュートは東北ゴールに突き刺さり、2-0!

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その後、東北選抜も攻めに転じますが、スコアは動かず2-0で前半を折り返しました。

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後半

後半も東海選抜は優位に試合を進め、99#三條選手、25#小林選手、そして前半から強烈なシュートを連発し、重戦車のような存在感の7#藤田雅也選手を中心に東北選抜の守備を崩していきます。

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一方の東北選抜は制球が定まらず、決定機が作れません。突破力のある18#遠藤雄也選手がゴール前に迫るも、東海選抜の守備を破るのは容易ではありません。

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終了間際、勢いの衰えた東海選抜に畳み掛ける東北選抜でしたが、東海選抜の寄せに苦労しそのままタイムアウト。

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手数に勝る東海選抜が2-0で試合を制し、グループ首位に立ちました。敗れた東北選抜は、悔しさを滲ませつつも決して下を向くことはありませんでした。

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なにわのカナリア軍団「関西セレソン」と挑戦者「甲信越北陸選抜」

投げ込まれる無数のボールとともに勢いよく入ってきたのは、ひときわ派手なレモンイエローのユニフォーム。ブラジル代表(通称セレソン)を思わせるカラーリングの関西選抜です。

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過去大会は成績が振るわず、関東勢の後塵を拝してきた関西選抜。7時間かけて大阪から車で移動し、前日の会場入り。しかし長旅の疲れも見せず、大会制覇に向けて選手スタッフ一同やる気にみなぎっています。

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一方、全国規模の大会に初出場となる甲信越北陸選抜。指揮を執るのは、ヴァンフォーレ甲府のアカデミーで指導員を務める平井成仁監督。

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練習の回数も十分とは言えず、チーム内でも紆余曲折ありの数ヶ月を過ごしてきたメンバー同士、今こそ結束を見せる時です。平井監督は、一人一人を信頼してハイタッチで送り出しました。

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いよいよ、予選リーグ第1節最後のカード、関西選抜と甲信越北陸選抜の対戦が始まります。

グループB 第2試合 関西選抜 vs 甲信越北陸選抜

試合は序盤から、実力と経験で総合的に勝る関西選抜のワンサイドゲーム。経験値の少ない甲信越北陸は苦戦を強いられます。開始1分には5#北澤誠司選手のゴールで関西選抜が早くも先制。

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前半は5#北澤選手を中心に素早いパス回しで関西選抜が主導権を握ります。9#寿洋樹選手や11#藤田脩太選手らテクニックを持つ選手が揃う関西選抜は、ピッチの様々なところからシュートを打ち込んできます。前半4分には7#久保健選手が追加点。

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軽快にボールをつなぐ関西選抜の攻撃を弾き返すのが精一杯の甲信越北陸選抜。そんな中、長野県から唯一出場した14#中島祐選手が、仲間たちとともに守備に奮闘します。

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攻撃に転じたい甲信越北陸選抜ですが、ボールを持つと素早く詰めてくる関西選抜の選手たちにリズムを作らせてもらえません。

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しかし、一方で選手たちは必死の守備を見せました。GK1#米山善昭選手は、度重なるピンチを勇気あるプレーで防ぎ、ゴールを割らせません。

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バランサー役の15#飯田亮太選手が、周囲に気を配りながら細かく指示を与え、統率します。

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甲信越北陸選抜は集中力を切らすことなく、支配率で圧倒的に上回る関西選抜を相手に2失点で切り抜けました。

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後半

「いつも練習でやってることをしましょう。」冷静に話す関西選抜の真庭大典監督。選手たちは浮かれることなく、再び気を引き締めます。

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後半も関西選抜のペースは変わらず。後半1分に3点目を奪うと、さらに攻撃に力が入ります。特に11#藤田選手の突破力とスピードは、甲信越北陸選抜を翻弄、自陣に釘付けにしました。

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このままでは終われない甲信越北陸選抜は後半2分、1点を返し1-3に。チームの大会初の得点は彼らに勇気を与えました。決めたのは6#寶子聡選手!

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しかしその喜びも一瞬。直後に関西選抜5#北澤選手、 6#北村広樹選手が立て続けにゴールを決め、点差を広げてしまいます。

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再び攻めに転じた関西選抜の攻撃をひたすら跳ね返すGK1#米山選手。そしてそれに呼応するように、守備陣も奔走します。

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しかし懸命な守備を見せる甲信越北陸選抜も力つき、失点を重ねます。

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そして少ない攻撃チャンスも実らせることができなかった甲信越北陸選抜。

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結局その後4失点を喫し試合終了。挑戦者の立場で挑んだ全国大会の初戦は、終わってみれば1-6という苦い初戦となりました。

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強豪相手に1点をもぎ取った自信と、全国レベルの前になすすべがなかった失望感と。ないまぜの気持ちを表情に浮かべつつ、アリーナを去る甲信越北陸選抜。しかしサポーターたちはそんな彼らに大きな声援を送り続けました。

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予選グループ第1節を終え、グループAの首位は東海選抜、Bの首位は関西選抜となりました。抜きん出たチームはなく、まだまだ予選の行方はわかりません。大会は初日の折り返し、第2節に差し掛かっていきます!

③へ続く—————————————————————————————————-

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「パラキートのパラスポーツ日記」では、一人の障害者サッカーファン「パラキート」が自分の脚でおもむき、自分の目で観て、自分の耳で捉え、自分の指で撮り、自分の頭で考えたママを発信していきます。

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『"Pick"=掴み取る、選ぶ」と「"Phat"=格好いい、イカした』を組み合わせた造語を屋号に掲げる「PickPhat」。クライアントの意思を尊重し、選び抜いてイカしたサイトをクライアントと共に作り上げます。代表の加藤高明氏は電動車椅子サッカーチーム「Yokohama BayDream」の選手としても活躍中。

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