- サッカーの現場から
W杯イヤーの幕開けにふさわしいイベント
パラキートブログを読んでくださってる方はもうすでにご存知かもしれませんが、今年は2年に一度のアンプティサッカーW杯イヤー。今年初めのお話しになってしまいますが、W杯イヤーの幕開けにふさわしいイベントが今年1月に開催されました。その名も「静岡障害者サッカーフェスティバル」。今年で3回目となるこのイベントは、アンプティサッカーのほか、知的障害者サッカー、ソーシャルフットボール、電動車椅子サッカー、そして様々なカテゴリが混ざり合った混成大会と、2日間にわたり様々な障害者サッカーに触れることができる超豪華イベント。もっと早くブログ記事に書けよ!と突っ込まれそうですけど…。
————–1月6日(土)会場:Jステップ & 清水庵原中学校・知的障害者サッカー大会(一般・8人制)・知的障害者サッカー大会(中学生・8人制)・知的障害者サッカー大会(小学生)・電動車椅子サッカー大会(中部・関東ブロック)・ブラインドサッカー教室・アンプティサッカー教室
————–1月7日(日)会場:Jステップ & IAI日本平スタジアム・知的障害者サッカー静岡選抜 vs 横浜・Fマリノスフトゥーロ・ごちゃ混ぜサッカー(試合)※聴覚・知的・女子・シニア混合・ごちゃ混ぜサッカー(体験会)・アンプティサッカー東西対抗戦・ソーシャルフットボール静岡県大会————–
腹ごしらえに清水中央青果市場へ
そんなわけで、パラキートはイベント2日目にお邪魔してきました。朝7:30、新年明けの空は青く澄み渡り、遠くには富士山が見えます。
…とその前に。朝早く清水駅に到着したパラキートがまず立ち寄ったのは、毎月1度、駅から程近い清水中央青果市場で開催されている「庵原マルシェ」。新鮮野菜や海の幸。作りたての惣菜などが所狭しと並んでいます。
そして今回のお目当はこちら「mogu食堂」。ご店主の本田さんは、実はアンプティサッカーチーム「ガネーシャ静岡AFC」のマネージャをされており、パラキートもいつも世話になっている方なのです。
水揚げされたばかりのタコとホタテが入ったあったかい中華粥は、油で揚げたタコとホロホロ崩れるホタテが入って、優しい塩気がたまりません。身に染みる寒さでしたが、身も心も温まりました。ごちそうさまでした。
モグ食堂&キッチンスタジオmoguについてはこちら↓
市場の端では早朝ライブが始まっていて、その傍らにはガネーシャ静岡AFCのポスターが。地元に根付いたクラブチームなのですね。
ちなみに演奏していたのはアンパンマンマーチでした。
7競技が一堂にそろうイベント
市場を後にしてパラキートが向かった先は、小高い丘の上にある清水ナショナルトレーニングセンター、通称J-STEP。サッカーコート2面、フットサルコート1面、体育館1棟を有するJ-STEPでは、これまでにも多くの障害者サッカーイベントが開催されています。
会場にはイベントバナーとたくさんの協賛の幟が賑やかにはためいていました。この会場内の施設で、複数のイベントが同時進行していきます。パラキートはカメラを抱えて、それぞれの競技会場へと飛び回りました。
初日には電動車椅子サッカー大会が開催されており、地元静岡県から静岡県選抜、神奈川県からYokohama Crackers、そして長野県からは長野県合同チームが出場。Yokohama Crackersが優勝しました。昨年の日本選手権時速6km&10kmそれぞれの優勝チームが出場するなど、話題性も十分な大会でした。
ソーシャルフットボール静岡県大会
体育館ではソーシャルフットボール(精神障害者フットサル)の静岡県大会が始まろうとしていました。
関東、関西以外のソーシャルフットボール大会を見るのは、これが初めて。どんなプレイが見れるのかワクワクします。
全部で5チームが出場。中部地区の一位がシード、そして県下でその強さを誇るエンギーアしずおかが要注目です。
第一試合、エンギーアしずおかvsギアハートラが始まりました。
ごちゃ混ぜサッカー(試合形式)
さて同時刻。外のグラウンドではごちゃ混ぜサッカーが始まります。聴覚障害、知的障害、シニア、女子選手の混合チームの対戦。…とその中に、アンプティサッカー・FC アウボラーダのGK長野哲也選手の姿が。
同じくFCアウボラーダの平賀智行選手の姿もありますね。フィールドプレイヤーとして活躍する姿を見る機会はあまりないので、新鮮です。
同じくFCアウボラーダのエンヒッキ・松茂良・ジアス選手も。
デフサッカー女子日本代表の酒井藍梨選手の姿もありました。
同じサッカー仲間同士、世代間を超えての交流も。
一部の選手にはボールが回ってこないなど、ごちゃ混ぜサッカー特有の課題も多いですが、様々な方が一つのボールを追いかけて走る姿はやはりいいものでした。
ごちゃ混ぜサッカー(体験会)
隣接するフットサルコートでは障害者サッカー体験会がスタート。電動車椅子サッカー用の競技球を蹴ってみたり、車椅子乗車体験もできます。
静岡で活動する電動車椅子サッカーチーム、SFCデルティーズのスタッフもお手伝いしていました。静岡県障害者サッカー協会の働きかけで、県下の障害者サッカーチームが互いに連携できる体制を取っているのです。
体験会には大勢の参加者が集まっていました。シュートやパスも、選手・スタッフに指導を受けますが、参加者はクラッチの扱いに四苦八苦。
「選手は軽々とやってるけど、実際は大変なんだねえ」「腕が痛い」色々な感想が参加者から飛び出していましたが、みな一様に楽しそうな表情を浮かべていました。
同じ頃、別会場のIAI日本平スタジアムでは知的障害者サッカーの年齢別大会が行われていました。パラキートは移動手段がなくそちらに行くことはできませんでしたが、同じように盛り上がっていたことでしょう。
ガネーシャ静岡AFCの応援ブース&協賛企業ブース
体験会会場の脇にはガネーシャ静岡AFCのグッズ販売ブースも併設されていました。静岡県内の障害者サッカー団体やチームの紹介パンフレットも置いてありましたよ。
鮮やかな緑のテントの下に、応援Tシャツやタオル、応援ソングを歌う清水市在住のシンガーソングライター「山作戰(やまさくせん)」氏のCDなどが並んでいます。サポーターズグッズはテンション上がりますね。
併設テントでは選手がマッサージを受けていました。怪我などがあった時でも、すぐに対応できるように環境が整っています。
駐車場脇ではこんな商品の紹介ブースも。手で踏めるアクセル&ブレーキ。
W杯イヤーの幕開けは、アンプティサッカー東西対抗戦
さて、今回のパラキートのお目当ては、アンプティサッカー東西対抗戦。その名の通り全国から選手が集い、チームEastとチームWestに分かれての対抗戦を行います。
東西と言っても参加選手の偏りもあるので、基本的にはごちゃ混ぜ。
さあ、試合が始まります!
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アンプティサッカーの公式戦は5月のレオピン杯と11月の日本選手権大会だけ。試合での出場時間が短い選手にとっても、積極的に挑戦できるまたとないチャンス。こうした実戦の機会は本当に貴重です。
普段チームメイトとして一緒にプレーする選手たちも、今日はライバルです。
FCアウボラーダのGK長野選手とA-pfeile広島AFCのGK小澤選手との選手交代シーン。普段なかなか見ることができないこうしたやりとりが見られるのも、オールスターの東西対抗戦ならでは。
大勢の観客がこれだけの至近距離から自分たちのプレーを見つめる。だれた試合は見せられないという緊張感と、期待を背に受けてプレーができる喜びとを、選手たちは感じていたかもしれません。
試合は互いに点の取り合いに。コンビネーション、セットプレイ、様々な得点シーンを見ることができ、観る側もプレーする側も大盛り上がりの展開になりました。
FC九州バイラオールの野間口圭介選手が放ったFKが壁に当たり、跳ね返ったところをFCアウボラーダ遠藤好彦選手が押し込みゴール!こんなシーンを随所に見ることができました。
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ハーフタイムでは、静岡で活動するフリースタイラー「TOMMY」氏のパフォーマンスショーが披露され、海外のフリースタイラーも唸らせたその美技に、観客はすっかり魅了されていました。
観客は拍手喝采です!
この日チームEastの監督を勤めたFCアウボラーダ野口魁コーチ。監督としても経験を積める機会になりました。
East&Westそれぞれ、選手間でしっかり話し合いをしながら、後半のプランを詰めていきます。
競技歴の浅い選手にとって、ベテラン選手からの指導も貴重な経験です。選手の交流を通して、アンプティサッカーの競技レベルの底上げも図られていました。
壮絶など突き合い!決着はPK戦へ…
後半戦は前半よりもさらにハードな展開に。
FCアウボラーダのエース、エンヒッキ選手とガネーシャ静岡AFCの若杉幸治選手のマッチアップも見応え十分!
ゴールの祝福シーンもたくさん飛び出しました。
熱い抱擁!
白熱した試合の様子は、写真でお楽しみくださいませ。
前後半終わって5-5の同点。乱打戦となった東西対抗戦は、PK戦へと持ち越しに!まるで日本選手権の再現を見ているようです。倒れこむFCアウボラーダ新井選手。
手に汗握るPK戦、スタート。…と思いきや、野次を飛ばしまくる選手たち。観客席からは笑い声が響きます。
GK長野選手と平賀選手の守護神対決は白熱!キッカーも次々と素晴らしいシュートを決めていきます。
日本選手権では悔し涙を飲んだFCアウボラーダGK平賀選手もこの笑顔です。
結果、3-2でPK戦を制したチームWestの勝利!W杯イヤーの幕開けにふさわしい、華やかな試合となりました。
今年10月にはメキシコで2年に1度のW杯が開催されます。その1年を占う意味でも、重要な試合になったのではないでしょうか?
インクルーシブイベントの新しい形を示したフェス
時間が流れるのも早いもので、2日間のイベントもあっという間にフィナーレです。午前中から行われていたソーシャルフットボール静岡県大会とアンプティサッカー東西対抗戦の表彰式が行われました。
このイベントの仕掛け人、NPO法人静岡FIDサッカー連盟理事、瀬戸脇正勝氏。昨年9月の電動車椅子サッカー日本選手権でも、大会の開催に尽力されていました。静岡県の障害者サッカーの鍵を握る方です。
表彰式です。ソーシャルフットボール静岡大会の優勝、バカスゲーラ静岡。
そしてアンプティサッカー東西対抗戦の優勝、チームWest。
おめでとうございます!
—————–最終成績知的障害者サッカー大会(一般・エンジョイ)優勝:静岡SS MVP:大村選手(静岡SS)知的障害者サッカー大会(中学生)優勝:エスペランサA知的障害者サッカー大会(一般・スタンダード)優勝:東部教室 MVP:佐藤選手(東部教室)電動車椅子サッカー大会(中部・関東ブロック)優勝:Yokohama Crackers MVP:佐藤選手(Yokohama Crackers)知的障害者サッカー静岡選抜 vs 横浜・Fマリノスフトゥーロ優勝:横浜・Fマリノスフトゥーロ MVP:竹澤選手(横浜・Fマリノスフトゥーロ)アンプティサッカー東西対抗戦優勝:チームWest MVP:高橋選手(チームWest)ソーシャルフットボール静岡県大会優勝:バカスゲーラ静岡 MVP:斎藤選手(バカスゲーラ静岡)
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静岡県は障害者サッカーの普及や環境整備、地域・企業との交流を積極的に行っています。資金も潤沢ではなく環境も整わない中から、ここまでの規模のイベントを開催できるまでになった静岡県障害者サッカー連盟。その取り組みは、他県にとっても活動を進める上でも、大きな参考になることは間違いありません。
来年、再来年と、その規模はどんどん大きくなり、更に魅力的なイベントになっていくことでしょう。静岡県障害者サッカー連盟の今後の活動から目を離せません!次回「第4回静岡県障害者サッカーフェスティバル」は2019年1月5日、6日の両日開催。ぜひ、現地まで足を運んでくださいね。
当日お弁当を配布してくださった実行委員の皆様、お誘いくださったガネーシャ静岡AFCの原代表、ありがとうございました!
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