「ソーシャルフットボール体験会in川崎」開催!

  • サッカーの現場から

 

大盛況!!ソーシャルフットボール体験会

ブログの更新が滞ってしまったため、ご報告が遅くなりましたが、以前パラキートブログで告知したソーシャルフットボールの体験会が、2月4日(土)川崎市富士通スタジアム川崎にて開催されました。 その様子をお伝えします。

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川崎市都市ブランド推進事業として開催されたこのイベント、会場はアンプティサッカー日本選手権でも使用された富士通スタジアム川崎です。

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人工芝の広々とした競技場は、周囲をスタンドに囲まれ、力任せにボールを蹴っても道路に飛び出すこともない、ソーシャルフットボール体験会には最高の会場です。そして、当日は雲ひとつない絶好のサッカー日和!気温もそれほど低くなく、暖かな陽光のもと、気持ちよくボールを蹴ることができそうです!昨年のぽるとカップといい、普段の練習といい、FC PORTは天気に恵まれるチームなのですね(一昨年のぽるとカップは土砂降りだったらしいですが…汗)。

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日本ソーシャルフットボール協会からも、関東各県から協会員が運営スタッフとして集合。私たちFC PORTのメンバーとともに会場設営に加わり、準備が進められていきます。

午前の部は、神奈川県内の小・中学生で発達障害や知的障害などの障害を持つ児童・生徒を対象に、そして午後は精神障害を持つ高校生以上を対象としたサッカー教室。なんと、川崎フロンターレの普及コーチ陣がサッカーの技術を教えてくださるという、なかなかに贅沢なイベントなのです。

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子供達の明るい笑い声響く午前の部

 午前の部は、事前申し込みが低調だったこともあり、当日参加者がどれくらいになるのか予想もつきませんでした。しかし、蓋を開けてみれば子供達と保護者を合わせて100人を超える大盛況。参加者の多さは、子供の発達障害への関心が高いことを伺わせるものでした。

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県内に小・中学生を対象としたサッカーチームやサッカー教室は数多くありますが、障害を持つ子供を受け入れるところはあまりありません。協調性のなさや意思疎通の難しさもあり、チームに馴染めなかったり指導者が対応仕切れないからです。そんな子供たちにサッカーの楽しさを知ってもらい、のびのびとボールを追いかけられる場が作れないものか。それがこのイベントを企画した目的でした。

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スタッフも医師やメンタルケアの専門家など、障害を持つ児童・生徒への対処法を心得ているエキスパートたちで固めています。安全面・メンタルケアの両面のサポートのおかげで、参加者は安心してサッカーに打ち込めるのです。

川崎フロンターレの4人のコーチ陣は、普段から障害を持つ子供たちを指導しているわけではありませんが、その教え方は実にプロフェッショナル。いろいろな特性を持つ子供たちを、和やかで楽しい雰囲気を保ちつつ、巧みにまとめていきます。

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最初は落ち着きのなかった子供たちも、どんどん彼らのペースに引き込まれていきます。いつしかスタジアムは子供たちの笑い声に包まれ、不安そうだった保護者の方々も、安堵したのかカメラを片手に笑顔で子供たちを見守っていました。

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まずは準備運動から。そしてリフティング競争やコーンを的にしたシュートの練習、ドリブル競争。そして最後はゲーム形式のトレーニング。それぞれに達成感ややる気を起こさせるメニューばかり。

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発達障害や知的障害を持つ子供たちは、衝動のままに行動する子や、ルールや決まりごとを守れない子も多い。サッカー自体は好きなのに、チームに馴染めず孤立してしまう。そんな子供たちの特性を理解したうえで、安全に、楽しくサッカーができる場が欲しかった」と、参加者の一人はおっしゃっていました。チームと子供たちの間でトラブルが一番多いのが「サッカー」なのだそうです。子供たちは年齢やレベルに合わせて2つのグループに分かれ、ゲーム形式の練習では知らない子同士、互いに声を掛け合いながらボールを追いかけます。中には突然グループの輪から離れ、走り出してしまう子供も。そんな子にもコーチは笑いながら「戻ってこーい!」と声をかけます。決して威圧することはありません。

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子供たちは聞き分けがないわけではなく、衝動を抑えられないだけ。優しく諭すこと、丁寧に説明すること、大人の都合を押し付けないこと。それを守ることで子供たちも安心してサッカーを楽しめるのだということを、彼らの活動を通して感じることができました。

f:id:okina_monkparakeet:20170419224055j:plain©JSFA FC PORTのメンバーたちも、子供たちとの交流を通じて学ぶことがたくさんあったようです。次回体験会を開催するとき、この経験をしっかり生かして行きたいですね。

ボールを追いかける大人たち

昼食の時間が過ぎ、日差しも強くなり始めた頃、高校生以上を対象とした午後の部が始まりました。

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午後の部に参加したのは総勢40名ほど。この後関東大会でFC PORTと戦うことになる「ダルク」のメンバーにも協力していただきました。

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練習に入る前に、FC PORTキャプテンから自身の体験を話す機会があり、精神疾患というものがどのようなものか、そして自身にとってサッカーがどんな存在なのか、語っていただきました。参加者は当事者同士ということもあり、皆熱心に話を聞いていたのが印象的でした。

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さて、入念な準備運動からサッカー教室はスタート。10代後半から50代まで参加者の年齢層は幅広く、準備運動終了時点ですでに息が上がっている方もいました。午前中の和気藹々とした雰囲気はそのままですが、練習メニューは幾分ハードなものに。

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 まず、初心者クラスと経験者クラスにチームが分けられます。私は経験者クラスに入りました。初心者クラスは対面パスの練習。経験者クラスはボールを使ったウォーミングアップから、シュートの成功率を競い合うシュート競争。そのあとは「鳥かご」と呼ばれるパス回しの練習なのですが、これががまたハード。ミスをしたらその場で腕立てなどのペナルティが課されます。私も参加しましたが、全くボールを取ることができず…。

1時間ほど汗を流した参加者たち。ソーシャルフットボールがどんな競技か、実際に観戦して知ってもらおう、という趣旨でエキシビションマッチが組まれることになりました。

対戦するのは我らがFC PORTとダルク。この3週間後に関東大会が控えているとあって、互いの特徴を知るにはまたとない好機。試合前からなんとも言えない緊張感が漂います。

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試合は静かにスタートしました。

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互いの戦術を探り合うような慎重な試合運び。

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3週間後に迫る関東大会を意識してか、引き締まった勝負になりました。

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結果、FC PORTは1-0でダルクに勝利。迫る関東大会での好試合を早くも予感させるようなゲーム内容でした。

最後は参加者を年齢別に分けてミックスし、即席チームを編成。こちらは笑顔の絶えないフレンドリーマッチになりました。ここからはイベントスタッフも監督もみんな混じってのごちゃ混ぜサッカー!

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いつもはプレイする姿をあまり見せないわれらがFC PORT佐藤監督も、この日は大奮闘!

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勝戦では、両チームの選手入場から始めるという、コーチの粋な(?)演出も。勝手も負けても、笑いの絶えない楽しい時間が続きました。

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盛況のうちに幕を閉じたソーシャルフットボール体験会。神奈川県ソーシャルフットボール協会・FC PORT代表の篠崎氏は「このような機会を今後も設けてほしいという声をいただき、今後も開催できるよう調整を進めていきます」とおっしゃっていました。

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私は、サッカーには子供も大人も関係なく一つに結び付けてしまう魔力のようなものがある、と考えています。それを改めて感じさせてくれるような、まさにそんなイベントにでした。子供も大人も、心の葛藤やしがらみにとらわれず、夢中で一つのボールを追いかける1日があっても良いと思うのです。そして、障害がある、なしに関わらず皆が純粋にサッカーを楽しめる機会がもっと増えてほしい。

ソーシャルフットボール体験会は今後も継続して開催される予定です。このような取り組みが広がっていくことを願っています。

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(了)

※JSFA・日本ソーシャルフットボール協会より写真をご提供いただいております。

画像の無断掲載・無断流用を固くお断りいたします。

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「パラキートのパラスポーツ日記」では、一人の障害者サッカーファン「パラキート」が自分の脚でおもむき、自分の目で観て、自分の耳で捉え、自分の指で撮り、自分の頭で考えたママを発信していきます。

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『"Pick"=掴み取る、選ぶ」と「"Phat"=格好いい、イカした』を組み合わせた造語を屋号に掲げる「PickPhat」。クライアントの意思を尊重し、選び抜いてイカしたサイトをクライアントと共に作り上げます。代表の加藤高明氏は電動車椅子サッカーチーム「Yokohama BayDream」の選手としても活躍中。

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