- サッカーの現場から
サッカーならどんな障害も乗り越えられる!体験会開催決定
来る2017年2月4日(土)、富士通スタジアム川崎にて、ソーシャルフットサル
(精神障害者フットサル)の体験会、開催決定!
…ということでパラキートの所属する「FCぽると」の佐藤監督とメンバーが出席した、
記者会見の会場の様子をお伝えしたいと思います。
川崎市都市ブランド推進事業の一環として開催される今回のイベント。
川崎市初の取り組みということもあり、記者会見の場を設けて周知することになりました。
会見場である川崎市役所第三庁舎には、主要新聞社各紙の記者が駆けつけました。
その数総勢6紙。精神障害を抱える方の社会参加が取りざたされることが多い昨今、
各紙のイベントへの関心度の高さが伺えます。
会見には、我がFCぽるとの現監督であり、神奈川新聞のスポーツ部記者として
長年スポーツに関わっている佐藤将人監督と、FCぽるとのチームメイト2名が出席。
佐藤監督がFCぽるとに関わるようになったのは数年前。取材のためにチームを訪れた
ことがきっかけでした。
もともと小・中・高とサッカーを続け、大学時代に社会人フットサルチームに所属。
全国大会常連の強豪チームでGKとして活躍をしていました。
「そのサッカー経験をチームのために役に立ててもらえないか」と請われ、監督に就任。
2015年の「ぽるとカップ」ではチームを優勝に導きました。
的確な指導と、失敗を決して咎めることがない人間性で、チームから絶大な信頼を置かれています。
自治体がバックアップする初めての試み
まず「ソーシャルフットボールとは何か?」というところから会見は始まりました。
以前に何度かこのブログでも触れていますが、サッカーはコミュニケーション能力や
判断力、集中力などを養うのに最適なスポーツと言われ、医療の現場でも積極的に
取り上げられています。幼少期の精神疾患や発達障害への改善効果も期待されている
スポーツの一つなのです。
国内のソーシャルフットボールは、2015年に初めて全国大会が開催され、
近年認知が高まり、競技人口も急激に増加しています。
しかし認知が高まったとはいえまだまだマイナースポーツの域にあり、
精神疾患や発達障害を抱えているサッカー好きの子供たちが安心して練習できる場がすくないのが現状です。
そこで、NPO法人日本ソーシャルフットボール協会と神奈川県ソーシャルフットボール協会が
連携して立ち上げた企画が、今回の「ソーシャルフットボール体験会」なのです。
地方自治体が全面的にバックアップしての開催は、実は全国初。
ソーシャルフットボールとしても、地域行政としても、先進的な試みになります。
今回の体験会で運営を担当する「FCぽると」も、社会に馴染むことが難しい障害者の方が
集い、レベルも抱える病気も様々な選手常時10人前後が、月2回の練習で汗を流しています。
記者会見では当事者としての声を聞いてもらえたらということで、チームに古くから加入している
2人のメンバーも、チームへの想いやソーシャルフットボールの可能性を語ってくれました。
FCぽるとでは正GKを務める鈴木選手。サッカー経験はありませんでしたが、努力を重ね、今ではチームの守護神に。
鈴木選手はADHD(注意欠陥・多動性障害)とASD(自閉症スペクトラム)を抱え、
大学卒業後は社会人生活に馴染むことができず抑うつ症状を併発。
サラリーマン生活を一旦リセットし、自分自身と向き合いながら、社会復帰を模索しています。
その生活の中で、息抜きとして始めたのがフットサル。FCぽるとに出会って、チームに加入するまでは
それほど時間はかからなかったようです。
チームメイトとの出会いや練習での経験が自分にとってプラスになっている実感があると
話していました。
もう1名も、チーム在籍暦の長いA選手。境界性パーソナリティ障害を患い、
学生生活や社会人生活がうまくいかなかったそうです。
そんな時、ふとしたきっかけでFCぽるとの立ち上げに参加。
チーム運営に深く関わることで社会との関わり方を実践し、今では就労準備段階に
入れるまでに変わることができたと話します。
二人ともに、ソーシャルフットボールへの関わりを通して、チームプレイあるいは
運営活動に関わることで自信を身につけ、社会復帰への足がかりにしています。
チームメンバーの抱える症状は人それぞれだけれども、モチベーションの高い彼らに
刺激をもらって、困難に立ち向かっていこうという気持ちが芽生えたことが大きいと
話す鈴木選手。
抱えている困難が楽になった実感があるか、という問いに対しては
「辛い、しんどいと感じる時も、フットサルをしているうちに発作が軽くなる」
「充実感やチームメイトとの交流が身体に良い影響を与えてくれていると感じる」
と言います。
A選手も「最初はボールを蹴ることすら怖くてできず、泣きながら続けていくうちに、
色々な意味で強くなり、日常生活の生きづらさが薄らいできた。躁鬱の波の振り幅も
少なくなってきている」と、明らかな手応えを感じていました。
私もチームの練習に参加していて、彼らの向上心やひたむきさがチーム全体の雰囲気に
良い影響を及ぼしているのを感じます。真剣に、純粋にフットボールを楽しみながら
強い自分を取り戻そうとしている彼らの姿は、お恥ずかしながら大きな目標を持たずに生きてきた私にとって、
とても眩く見えるのです。
ソーシャルフットボール体験会とは?
2月4日(土)に開催されるソーシャルフットボール体験会は、午前の「小・中学生の部」、
午後の「高校生以上一般の部」に分かれてサッカー教室を行うというイベントです。
コーチはJ1川崎フロンターレより、普及コーチ4名が参加。経験・未経験問わず、
誰でも気楽にサッカーの楽しさを知ることのできるプログラムになっています。
「サッカーは好きだけれど団体行動が苦手」「コミュニケーションが苦手で人と接するのが怖い」
などの悩みを抱える方も、心理療法士や経験豊富なスタッフのサポートもあるので
安心して参加できます。当日の飛び入り参加も大丈夫なので、ふと思い立ったら
参加してみる、ということも可能です(詳細は冒頭のチラシをご覧ください)。
先ほど自身のソーシャルフットボールの体験を語ってくれた鈴木選手は、
「自分はソーシャルフットボールでとても大きいものを得た。他に精神疾患を抱えて
いる方にも、今回のイベントを通じてソーシャルフットボールの魅力と、それによって
障害を乗り越えられることを知ってほしい」と言います。
そして「イベントが広く認知されることで精神疾患に対する偏見が無くなり、
精神疾患を抱えている方が生活しやすくなることを望んでいる」と語ってくれました。
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ソーシャルフットボール体験会 開催概要
日時:2017年2月4日(土)小雨決行・荒天中止
午前の部(小・中学生対象)9:00〜11:30 参加費:子供300円、親子500円
午後の部(高校生以上対象)11:30〜14:30 参加費:300円
会場:富士通スタジアム川崎 参加チーム:8チーム(予定)
川崎フロンターレの普及コーチが親切に楽しく指導してくれます!
※動きやすい格好と、運動靴もしくはサッカーシューズをご持参ください。
※午前の部は子供だけの参加でも、親子の参加でもOKです。
※女性の方もお気軽にご参加下さい。
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ソーシャルフットボール全国大会関東予選会
イベントの開催と同時に記者会見で告知されたのは、2月25日(土)に
川崎高校体育館で開催される「第二回ソーシャルフットボール全国大会関東予選会」。
関東地方の強豪8チームが、各ブロック2枠しかない全国大会(10月愛媛で開催予定)
の切符をかけて争う重要な大会です。
2015年の関東大会では去年の「ぽるとカップ」で優勝した、日本代表を3名擁する
「Espacio(エスパシオ)」と、同じく準優勝の「ダルク」が全国大会に勝ち上がり、
そのまま全国大会も制するという、終わってみれば関東勢圧勝の結果でした。
Media116より引用。2015全国大会決勝「Espacio対ダルク」の試合も見られます。
わが「FCぽると」は、前回関東大会では10チーム中惜しくも4位。
今回は参加チームが減り、チーム内の戦力も整いつつあり視界は良好。
初優勝と全国大会出場に向けて有利な条件がそろいつつある状況です。
私は大会には出られませんが、人生初の「優勝」に向けて、今からすでに期待度MAX。
強豪「Espacio」「ダルク」も出場する関東大会、ぜひ会場に足を運んで、選手たちに
声援を送ってください!
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第二回ソーシャルフットボール全国大会関東予選会 開催概要
日時:2017年2月25日(土)9:00〜17:00
会場:川崎市立川崎高校体育館
参加チーム:8チーム(予定)
入場無料・観戦自由(観戦の際は上履きをご持参ください)
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(了)