- サッカーの現場から
テコンドー大会、いよいよ初潜入!
イオンモールでの体験会から一週間。
伊藤選手が出場する、神奈川県テコンドー協会 NPO 特定法人 炫武館主催
第20回南関東テコンドー選手権の会場である横浜文化体育館にやって来ました。
スタッフの方に事前撮影申請の確認をしていただき、館内にはいると、
すでに大勢の選手・スタッフが館内で慌ただしく準備を始めていました。
会場となる体育館には4面の競技スペースと選手控えエリアが設けられており、
そこでは選手たちが体をほぐしたり、指導者からアドバイスを受けたりと、
その表情は緊張感にみなぎっています。思わずこちらまで緊張してしまいました。
たくさんのメダルが並んでいます。
南関東テコンドー選手権は、その名の通り南関東地区のテコンドー競技者を中心に
約200人が参加し、「型」の美しさを競う「プムセ(=型)」、「格闘技」としての
スパーリング種目「キョルギ(=組手)」の2カテゴリに分かれ凌ぎを削る大会です。
プムセ キョルギ
「プムセ」は「小学生低学年(1年〜3年生)」から「マスター男子・女子」まで
全12階級、「キョルギ」は体重別に「-54kg級(幼児クラス)」から「シニアクラス」
まで全9階級に分けられます。
その中で、今年初めてパラテコンドーの部が設立され、伊東選手はそのクラスで
出場することになります。
小学生同士の試合であってもかなりの迫力。
テコンドーの歴史や詳細な競技のルールなどは全日本テコンドー協会の
サイトに詳しく紹介されているので、是非ご一読ください。
パラ部門が始まるまでの間、初めてのテコンドーを生観戦。
キョルギでは、赤と青のプロテクターを身につけた選手たちが軽やかなステップを
踏みながら互いの間合いを計ります。そして、一瞬のタイミングを狙って一撃!
一方のプムセは、静寂の中で流れるように美しく演武が行われていきます。
そして見ているこちらまで背筋が伸びるような、そんな張り詰めた空気が漂います。
キョルギ。空中で交錯する飛び蹴り、もんどり打って倒れる選手。見ていて怖くなるほどの迫力。
プムセ。冷たくピンと張り詰めた空気の中、流れるような美しい演武。静と動が入り混じる瞬間です。
歴史が浅く、飛躍が期待されるパラテコンドー
パラテコンドーは意外にも歴史が浅く、パラ競技でも新しい競技の部類に入ります。
2005年に上肢障害者を対象とした競技として誕生。2009年に初めての国際大会である
世界パラテコンドー選手権大会が開催されました。
そして、2020年の東京パラリンピックで初めて正式種目として採用になったのです。
国内のパラテコンドー競技人口は少なく、東京パラリンピックを目指す代表候補選手も
全国でも両手で数えられる程。
パラテコンドーも「プムセ」「キョルギ」に分かれており、「プムセ」は主に知的障害
選手が、「キョルギ」は身体障害選手がエントリーします。
(知的障害選手が「キョルギ」に出場することも、その逆も可能)。
2020年東京パラリンピックで正式種目に採用されたのは「キョルギ」のみ。
「プムセ」はまだ採用に至っていません。それが、代表候補選手が少ない理由の一つでもあります。
しかし、普及活動がスタートしてまだ間もないこともあって、
未だ発掘される日を待つ潜在的な有望選手が、数多くいると言われています。
言い換えれば、2020年東京パラリンピックに向け急成長・急拡大間違いなしの、
要注目競技なのです。
そうはいっても、国内選手が少なく選手も全国各地に分散して活動しているため、
国内で大規模なパラテコンドーの大会が開催できません。
したがって、選手たちは実戦の機会を求めて世界各地のパラテコンドー競技大会を
転戦することになります。残念なことに、国内で実戦を見ることができる機会は非常に
限られているのが現状。なので、今回大会を、しかも私の地元横浜で
観ることができたのは幸運なことでした。
パラプムセ競技開始!
さて、今回の南関東テコンドー選手権では「プムセ」に2名、「キョルギ」に3名の
計4名(うち一人はプムセ&キョルギ両方にエントリー)が参加。
テコンドーをしっかりと見たことがない私にとってはテコンドー=「キョルギ」
のイメージしかなかったので「プムセ」は初めて目にするまたとないチャンスです。
「プムセ」は、攻撃と防御の動きを組み合わせた規定の型の演技を行い、その美しさを
競う競技です。その組み合わせは3,000を超え、約1分間の間に一連の「型」として
演技を行います。一般的な道場では、「キョルギ」よりも「プムセ」に重点を置いて
指導されることが多いようです。
体験会で見た選手たちの美しい所作は、鍛錬によって日々磨かれているわけですね。
さて「プムセ」競技が始まりました。「プムセ」は以下の3つの要素で判定されます。
・基本動作や技の「正確さ」
・技の大きさやバランス・スピードや力強さなどの「熟練度」
・繰り出すリズムや技のメリハリ、気の流れのスムーズさなどの「表現力」
それぞれ所属道場の異なる2選手。その動きは凛として流麗。短い時間の演舞ながら、
息をするのも忘れそうなほどです。礼から始まる一連の演武。写真でその魅力が
伝わるでしょうか…?
礼から始まる演武。2パートに分けて演技されました。
ひとつひとつの動きが力強く、重厚。引き締まった表情に気迫が感じ取れます。
そして流れるように蹴り上げられる足技。
再び礼で終わります。選手が緊張から解放される瞬間。
審判員の裁定が行われます。
次の選手の演技です。
同じ基本動作でも、道場によって違いがあるのでしょうか。力強さと同時に繊細なイメージです。
そして高く伸びる足先。美しい姿勢。選手の集中力が足先に集まります。
ひとつの動作に自信がみなぎっていて、堂々とした演武でした。
清々しく、晴れやかな表情。
演技が終わった後の選手たちの晴れやかな表情はとても魅力的。
そして、演技が終わった後、それぞれを讃え合う姿も非常に印象的でした。
礼節を重んじるテコンドーの世界。プムセ競技を通して、その世界の一端に
触れたような気がします。
神業の数々!
競技と開会セレモニーが若干前後したために、パラキョルギの開始時間が予定より
遅れましたが、セレモニー終了後にデモンストレーションが行われました。
まずは神業の数々をご覧あれ!
こちらは2枚の板を回転しながらの蹴りで連続で割っていく様子(連続写真)
バク転しながら、振り抜いた片足で板を割り、見事に着地(連続写真)
こちらも回し蹴り。空中で2回転してから右足を一閃(連続写真)
バク転しつつ両足で2枚の板を同時に割る!(連続写真)
そして、今大会の主催である炫武館館長、姜炫淳師範のデモンストレーションが
行われました。
炫武館は横浜に道場を構え、東京・神奈川・埼玉・山梨に支部道場を置いており、
たくさんの門下生が日々鍛錬を積んでいます。そして、テコンドー日本代表を
多数輩出する、数々の実績を誇る道場です。
姜炫淳師範が大きな大会でデモンストレーションを行うのは数年ぶりとあって、
どよめき立つ会場。スタッフ・競技者たちが一斉にスマホで写真を撮り始めます。
まずは型。しなやかな体捌きを披露してくださいました。
そして、木製のバットを蹴りで真っ二つに!
ふわっと空中を舞った細身の体躯から放たれる鋭い蹴りは、強烈な破壊力でした。
幾重にも重ね合わせ、がっちりと固定した木板の塊を、回し蹴り一閃で粉砕する
姜師範。4人がかりで塊を抑え込むも、弾き飛ばされそうな勢いです。
姜師範はとても穏やかで気さく、優しげな印象の方ですが、その足技は強烈でした。
叩き折られたバットは参加者の子供達の方へ飛び込んでしまい、
慌てて子供達を気遣う姜師範。強靭さと優しさを兼ね備えた武道テコンドー。
大いに納得できるデモンストレーションでの一コマでした。
さて、次はいよいよ、伊藤選手の登場するパラキョルギです。
私も競技コートの際まで近づいて、撮影準備です!
②へ続く
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