- サッカーの現場から
テコンドー初見学!
風が冷たくなり始めた12月。
千葉の幕張にあるイオンモール幕張新都心に私は降り立ちました。
前日の夜に首を寝違え、カメラの重みがいつもの倍以上に感じられる
最悪のコンディションながら、気分はハイテンション。
なぜなら今日は、ある選手がテコンドーの体験会に参加されるということで、
間近でその姿を見られるからです。
その選手とは、以前アンプティサッカー日本選手権で一目見たときから
私の「イチ推し選手」となったGK伊藤力選手(現バンブルビー千葉所属)。
伊藤選手はアンプティサッカーでの活躍の他に、もう1つの顔を持っています。
その顔とは「パラテコンドー日本代表」。
日本パラテコンドー界の歴史は浅く、選手もまだそれほど多くはありません。
そんな中にあって、伊藤選手は4年後の東京パラリンピックでの活躍を期待されている
日本パラテコンドー界のホープなのです。
先に書いた通り、国内ではパラテコンドーの代表候補選手は両手で数えられるほど。
国内でパラ中心の大会を開催する機会がなかなかないため、各選手は海外で現地で
開催されるパラテコンドー大会に出場するため海外遠征を行い、実戦を積んでいます。
体験会などのイベントは生でその技を観ることができる大変貴重な機会なのです。
ところが…私はこの時まで、まだテコンドーというものをじっくりと見たことが
ありません。果たしてどんなものなのか、ワクワクしながらこの日を迎えたのでした。
そういえば、サッカー以外の競技を取り上げるのは今回が初めてですね!
ちなみに体験会を主催した千葉県は、
東京オリンピック・パラリンピック競技の会場を複数担当します。
オリンピックではレスリング・フェンシング・テコンドー3競技、
パラリンピックでは車いすフェンシング・パラテコンドー・ゴールボール・
シッティングバレーボールの4競技を実施します(いずれも幕張メッセ)。
※他にサーフィン(釣ヶ崎海岸)
2020が終わった後も視野に入れながらオリンピック・パラリンピックレガシーとして、
競技の普及にとても力を入れており、今回のような体験会も積極的に開催しています。
さて、逸る気持ちを抑えつつ&痛む首をさすりながら、体験会会場となるイオンモール
幕張新都心へ。そこではたくさんの体験会参加者が、テコンドー協会の指導員や選手の
指導のもと、大きな声をあげていました。
小さなお子さんから大人の方まで、幅広い層に関心を持たれているのがわかります。
「ハナ!」「ドゥル!」「セッ!」
日本語で「いち!」「に!」「さん!」という大きな掛け声。
模範演技を披露する選手や指導員の姿勢の美しさ、スラリと伸びる脚、
そしてそして蹴りによって勢いよく叩き割られる木の板。
ボキャブラリーが乏しいですが…とにかくカッコイイのです。
その指導する選手の中に、伊藤選手はいらっしゃいました。
サッカーユニフォームの姿とはまた異なる精悍な道着姿。
アンプティサッカーで見た屈強な印象とはまた違う、凛とした姿がありました。
左から鈴木セルヒオ選手、伊藤力選手、高木パラテコンドー推進事業副部長
背中にはJPN(日本代表)の3文字が。
いよいよ体験会が始まります。
まずは深く一礼。つま先を揃え、敬意を体全体で表します。
そして準備体操。参加者全員で軽く体をほぐします。
体が温まってきたところで、実際の蹴りの指導です。どうすれば蹴りを当てる際に
痛くなくて済むかを、わかりやすく参加者に指導していきます。
では、蹴りの練習をしてみましょう!
選手たちも混じって、ミット相手のスパーリングが始まりました。
写真ではなかなか伝わりにくいのですが、頭の位置よりも高いミットに、
強烈な蹴りを食らわせます。
スパーン!と小気味良い音が響き渡ります。
伊藤選手によると、頭の上の高さまで足を上げるには関節の柔らかさは
あまり重要ではなく、コツをつかめば上がるものだとのことですが、やはり難しそう!
体験会ではお茶目な場面も。 この日は伊藤選手のほかに、全日本テコンドー協会強化指定選手・鈴木セルヒオ選手 (東京都協会)、東島星夜選手(千葉県協会)の計3選手が参加し、 2020年の東京オリンピックに向けて意気込みを見せていました。 東島星夜選手(千葉県協会) (左) 鈴木セルヒオ選手(東京都協会)(右) 若いお二人は、日本テコンドー界期待の星。東島選手に至っては4年後まだ20歳です! 東京オリンピックでの活躍が今から楽しみになってきました。 さて、スパーリングもだんだん熱を帯びてきました。 参加者それぞれ、思い思いにミットを蹴り上げていきます。
伊藤選手は左腕の欠損というハンデを負っています。しかし、それを感じさせない バランス感覚には驚かされます。 そして、いよいよメインイベントとなる、参加者による板割り挑戦! ところがこの板、思っていた以上に厚いのです。 果たしてみなさんは無事に割ることができるのでしょうか…。 指導員の合図とともに、「やあ!」 渾身の蹴りがヒット!次々と板が割れていきます! 小さなお子さんもしっかりとした蹴りで板を割っていきます。すごい! こうして、和やかながらも熱を帯びたテコンドー体験会は、盛大な拍手とともに終了。 この日の参加者は150名あまりとのこと。ショッピングモールでの開催にも関わらず、 足を止め参加する方が多かったことに、近年のテコンドー人気の一端が伺えました。 この体験会でテコンドーに興味を持ち、始めてみようと思う人が一人でも出てきたら、 テコンドー界は更に活気付いていくことでしょう。 首の寝違えがなければ参加したかったところですが、今回は涙を飲んで諦めました。 なので私の地元横浜でもぜひ開催してほしいと願っています(涙) もしご興味のある方がいらっしゃいましたら、ぜひ協会のHPをごらんください。 そして、是非一度競技場に足を運んでみてはいかがでしょうか? さて体験会終了後、慌しいなか伊藤選手にご挨拶のお時間を割いていただきました。 Twitterではご挨拶させていただいたのですが、お会いするのは初めてでさすがに緊張。 もしかしたら挙動不審に見られるかもなどと心配しましたが、 初対面にもかかわらず伊藤選手はフランクに応じてくださり、 翌週に出場される横浜でテコンドーの大会のことや、年始のサッカーOB東西対抗戦の 前座試合でアンプティサッカーが行われることを教えてくださいました。 印象的だったのは、伊藤選手との最後のご挨拶のときに垣間見た一礼。 この時、私は綺麗なお辞儀を久しぶりに見ました。 心・技・体が一体となって初めて「礼」は為るのだそうです。 競技歴は浅くとも、心は生まれた時から日々磨かれるもの。 伊藤選手の誠実なお人柄が垣間見えた瞬間でした。 さて、次の取材先が決まりました。翌週の南関東テコンドー選手権大会。 そこで、この日彼らが見せたテコンドーという競技がどれほど熾烈なものか、 文字通り間近で目撃することになるのでした。 (迫力たっぷりの大会の様子はこの後のレポートで!) ——————————————————————————— パラ競技・障害者スポーツの活動に積極的な千葉県 千葉県の取り組みについて、詳しい情報が載っています。 ぜひチェックしてみてくださいね! https://www.pref.chiba.lg.jp/oripara/ ◯千葉県(東京オリンピック・パラリンピック推進課)公式フェイスブック https://www.facebook.com/chibaoripara2020 ◯千葉県(東京オリンピック・パラリンピック推進課)YOUTUBEチャンネル このほかにも、千葉県はウィルチェアラグビーチーム「RIZE CHIBA」、 電動車椅子サッカーチーム「ウイニングフェニックス」 精神障害者フットサルチーム「エスパシオ」 アイススレッジホッケーチーム「東京アイスバーンズ」 など、各競技に強豪チームを輩出するスポーツ振興県でもあります。 千葉県の活動は要チェックです! この記事編集においても、ご多忙の中、親身かつ多大なご協力を賜りました。 この場をお借りして御礼申し上げます。 ありがとうございました! (了)そして、板割りに挑戦(参加者が)!