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シード3チームが登場!ベスト4に進むのはどのチームか
MAX10は2回戦に突入。1回戦を勝ち上がった5チームに加えて、ここからは組み合わせ抽選でシード権を獲得した3チームが新たに参戦してきます。シード権を得た3チームは1試合目の免除で体力的に有利な状況。しかし勝ち上がった5チームは1回戦で勢いをつけて臨む2回戦です。ベスト4に進むのは果たしてどのチームか。いよいよ2回戦が始まります。
MAX10 2回戦第1試合 FCクラッシャーズ(長野県) vs レインボー・ソルジャー(東京都)初戦を6-0の大勝で勝ち上がったレインボー・ソルジャーは、国内で最も優れた選手の一人と呼び声も高い、元日本代表10#飯島洸洋選手が率いるFCクラッシャーズとの対戦です。

2月のマリノスカップではYokohama Crackers相手に優勝、3月のドリームカップではNanchester United 鹿児島を相手に準優勝と、今期は時速10kmで結果を残しているFCクラッシャーズ。

レインボー・ソルジャー8#吉沢選手とFCクラッシャーズ11#飯島選手の見応えのある攻防が戦前から予想されていましたが、まさにその通りの展開になりました。

前半、レインボー・ソルジャーは、初戦の勢いそのままにFCクラッシャーズを追い込めていきますが、FCクラッシャーズも豊富な運動量が持ち味の4#森山一樹選手が決定的な仕事をさせず、前半8分までは一進一退の攻防が続きました。

ゲームを牽引する11#飯島選手はレインボー・ソルジャーのマークに手を焼き、一方のレインボー・ソルジャーもシュートがなかなか入りません。

しかし前半9分、レインボー・ソルジャーがCKを獲得します。キッカーは10#北沢洋平選手。

自身に向かって正確に放たれたボールを、8#吉沢選手は生かします。シュートはFCクラッシャーズGKの脇をすり抜け、ゴールを割りました。均衡した試合を最初に動かしたのは、レインボー・ソルジャーでした。

ビハインドを負ったFCクラッシャーズは、追いつくべくやや前がかりにポジションを移していきます。しかしその7分後に再び失点。2点目をあげたのは、やはり10#北沢選手と8#吉沢選手のホットライン。狙いを外すことなく、再びFCクラッシャーズゴールを割ります。

2点ビハインドとなったFCクラッシャーズも、その1分後に11#飯島選手の反撃弾で1点差に詰め寄ります。

前半を2-1で折り返したレインボー・ソルジャーは、後半はリスクを追うことなく堅実に試合を進め、得点を許しませんでした。

シードでの勝ち上がりを有利に生かしたかったFCクラッシャーズは悔しい初戦敗退、1試合のみで大会を去ることになりました。一方のレインボー・ソルジャーは1回戦とはまた違う強さを見せ、視界の先に優勝が少しずつ見えてきました。


ERST広島M.S.Cは初戦の勢いを維持したまま、積極的に仕掛けていきますが、相手は百戦錬磨のRedEagles兵庫、ゲーム序盤からペースを握られ攻撃に行くことができません。11#岩本選手も守備に追われ攻撃の糸口をつかめず。

20#横山選手もキャプテンの指示を受けながら必死に食らいついていきます。

そんなERST広島M.S.C相手に猛威を振るったのは、Red Eagles兵庫の新加入、77#井上純選手。その巨大な体躯の前に、身体の小さな20#横山選手や12#住吉選手は歯が立ちません。10#中野選手と比べてもこの体格差!

激しい攻勢を耐え凌ぎ続けたERST広島M.S.Cも、ついに被弾します。前半11分、持ち前のパワフルな攻撃でERST広島M.S.Cゴールにボールをねじ込んだのは77#井上選手。

77#井上選手にとって、嬉しい日本選手権初得点!!仲間たちの祝福につつまれます。駆け寄って行く8#中村哲智選手。

チーム不動のエースであり、昨年の決勝でも圧倒的な存在感を放った元日本代表10#有田正行選手を欠くRedEagles兵庫。彼に変わって存在感を放ったのは19#内海恭二選手です。W杯出場で得た自信が、彼を何倍も強くさせたようでした。

10#中野選手との激しい競り合いが幾度も繰り返されました。見応えのあるデュエル!

防戦一方のERST広島M.S.Cは前半17分に再び77#井上選手の追加点を許し、前半を2失点で折り返します。後半も攻撃ではどうしても10#中野選手頼みになってしまうERST広島M.S.Tは、少ないチャンスを手にしますが生かすことができません。

しかし小学生コンビと11#岩本選手の必死のディフェンスでその後追加得点を許さず、試合はそのまま終了。

Red Eagles兵庫は初戦を盤石の試合内容で勝ち上がり、また新戦力の得点というこの上ない結果を手に、昨年のリベンジに向けて好発進。

敗れはしたものの、ERST広島M.S.Tは2試合を通して貴重な経験を手にして大会を去ります。常に試合を牽引し、メンバーを見守り続けた10#中野選手の表情は、悔しさよりもチームメイトの成長に喜びと手応えを感じているように見えました。

来年、より一層成長した彼らを見ることが今から楽しみになってきました!

MAX10 2回戦第3試合 Nanchester United鹿児島(鹿児島県) vs Yokohama Crackers(神奈川県)昨年の日本選手権でも2回戦で激突し、PK戦の末に優勝の夢を打ち砕かれたYokohama Crackers。

そしてW杯での経験を持ち帰りさらにパワーアップしたNanchester United鹿児島。

1年を経て奇しくも再戦を果たした両チーム。双方合わせて4名の日本代表選手がぶつかり合うという意味でも今大会屈指の注目カードとなりました。前半は互いに出方を伺う静かな立ち上がり。しかしその静寂も長くは続かず、すぐに激しいデッドヒートとなります。機動力と強力なシュートが武器の7#三上選手と、攻撃に守備にと奮闘するキャプテン5#塩入選手の激しいマッチアップが続く前半。

互いにいいところを打ち消しあう両チームは、無得点のまま後半へ。ベンチメンバーも交えて、総括に熱の入るYokohama Crackers陣営。

後半に入ると、Yokohama Crackersキャプテン9#紺野勝太郎選手は要所要所で試合を締める動きを見せます。10#東選手に食らいつく!

Nanchester United鹿児島の14#井戸崎選手も攻撃の隙を伺いますが、10#竹田選手がゴールを許しません。

こう着状態が続くなか、少しずつ押し気味の展開に持っていったYokohama Crakersにチャンスが増えていきます。一喜一憂する観客席。応援のボルテージは高まっていく一方ですが、試合は動かず。7#三上選手がドリブルで駆け上がるも、5#塩入選手に加え10#東選手も猛然とブロック。「ガシャン!!!」激しい衝突音が響くピッチ。

勢い余っての激しいチャージに、主審は迷わずイエローカードを提示。10#東選手の車体から部品が外れるほどの衝撃でした。


アクシデントにも動じず、その後も正確なチャンスボールを供給する10#東選手には17#永岡真理選手がしっかりマーク。激しい駆け引きの応酬。

後半残り5分を切り、PK戦をもつれ込んだ昨年の2回戦が頭の片隅をよぎります。互いに後味悪く残ったPK戦。あの悪夢が再び繰り返されるのか…と思ったその時、Nanchester United鹿児島のGKへ渡ったボールを、そのままの勢いで押し込んだのは、ここまで何度もチャンスを作りつつ激しいプレイを見せていた10#永岡真理選手でした。

先制点をマークした時点で残り3分。必死に追いすがるNanchester United鹿児島でしたが、追いつくだけの時間は残されていませんでした。主審のホイッスルが響きわたります。

両手を突き上げるスタッフたち。勝利したのはYokohama Crackers!リベンジを果たし、チームの中にこの一年間こびりついていた敗戦の記憶を拭い去る勝利でした。

敗れはしたものの、挑戦者としての立場を崩さず、Yokohama Crackersをリスペクトし挑んだこの試合、Nanchester United鹿児島の選手・スタッフには、やりきった充実感が滲んでいました。

試合後、Yokohama Crackers平野誠樹監督の労いの言葉は、彼らの来年に向けての新たな闘志に火を点けたのかもしれません。

MAX10 2回戦第4試合 奈良クラブ ビクトリーロード(奈良県) vs Yokohama BayDream(神奈川県)
2回戦最後の試合は、初戦を山田選手のハットトリックで快勝し波に乗る奈良クラブ ビクトリーロードと、シード権を勝ち取りこの初戦に標準を合わせてきたYokohama BayDreamの顔合わせ。

日本選手権の対戦組み合わせが決まって以降、Yokohama BayDreamは精力的に各地の強豪チームとの強化試合や大会参加を行ってきました。その成果が試されるこの試合。選手、スタッフの表情には一様に緊張感がみなぎっていました。一人一人に激励をして送り出す菅野監督。

そして、奈良クラブビクトリーロードの39#大代監督が、おなじみの鬨の声をあげます。(大代監督)いくぞー!(一同)おー!(大代監督)いくぞー!(一同)おー!(大代監督)ビクトリーロード!(一同)おー!(大代監督)いってらっしゃ〜い!!(一同)いってきまーす!!!

開始早々、Yokohama bayDreamが攻勢を仕掛けます。相手の体勢が整わないうちに、先制点を奪って主導権を握りたいYokohama BayDream。チームのアタッカー9#加藤高明選手を中心に猛然と攻め込みますが、ゴールを割ることができません。

一方の奈良クラブ ビクトリーロードも、初戦でハットトリックを決めた3#山田選手を中心に反撃を開始。3#山田選手は、自身の武器である正確なセットプレイに加え、昨年にも増した機動力でYokohama BayDreamを追い込んでいきます。

11#中井選手の穴を感じさせないチームワークで、Yokohama BayDreamの攻撃を封じ、ペースを手繰り寄せていく奈良クラブ ビクトリーロード。

劣勢に回り始めたYokohama BayDreamの中で奮闘したのは11#安田隆午選手。3#山田選手や2#東良航太選手にアタックを仕掛けます。


昨年大会のMVP、15#安井悠馬選手と11#安田選手のデッドヒート。

前半を粘りの守備で無失点に抑えたYokohama BayDream。この調子を維持すれば、後半で得点をあげて初戦突破も望めるかもしれない、そんな期待感に膨らむベンチ。ハーフタイムの指示を送る監督には笑みが。選手たちの緊張もほぐれています。

しかし、堅い守備もついに破られます。後半1分、一瞬の隙をついて、3#山田選手が抜け出してシュート。先制点をもぎ取ります。

さらに奈良クラブビクトリーロードは怒涛の攻勢を続けます。それでも要所要所にチャンスを得る場面で、ベンチから叫ぶ20#木下絵理選手!「そこいけ、いけ、打て!あー!」「タカ!打て!」

ところがその8分後、15#安井選手のシュートが決まり、2点差に。後がなくなったYokohama BayDreamは総力戦の構えです。後半、満を持してピッチに送り出される15#木村俵太選手。

後方からは、闘将10#高林貴将選手の檄も飛び、必死で2点を追いかけます!

そして終了間際、セットプレイから1点を取り返します。バンパーをタッチし、祝福しあう4#キャプテン菅野正紀選手と11#安田選手。

ベンチもこの得点に湧き上がります!しかし、残された時間はあまり多くありませんでした。

最後の一秒が過ぎるまで攻めるYokohama BayDreamですが、ここで終了のホイッスル。2-1で奈良クラブ ビクトリーロードが勝利。Yokohama BayDreamは健闘も及ばず、1試合のみで大会を去ることになりました。

相手チームをねぎらう監督。「お疲れ様でした」と声をかけると、力なく微笑を浮かべ「ありがとうございました」とだけ言い残し去って行きました。

しかし、昨年覇者の奈良クラブ ビクトリーロードに2点のビハインドを許しながらも、最後の最後まで諦めずにもぎ取った1点には、十分すぎるほどの価値があります。若いYokohama BayDreamがこの悔しさをバネにどこまで飛躍するのか。来年の大会までのこの一年間を、引き続き追いかけてみたいと改めて思いました。

大会は初日の21試合をすべて終え、 それぞれのカテゴリの準決勝4チームずつが出揃いました。運命の2日目、すべては明日、決まります。
⑥へ続く————————————————————————————————–画像・文章の無断使用、無断掲載は固く禁じます。