- 電動車椅子サッカー
待ち望んでいた6年越しのW杯、いよいよ開幕
選手、関係者の誰もがそのニュースに耳を疑い、また悲嘆にくれたという、2015年の第3回電動車椅子サッカーW杯ブラジル大会、開催見合わせ。財政難や治安情勢の悪化など、様々な原因があったとはいえ、人生をかけてこの日を目指してきた彼らにとっては、非情のニュースだったことは想像に難くありません。2007年に日本で開催された記念すべき第1回大会では、出場7ヵ国中4位。その4年後、2011年10月にフランスで行われた第2回大会では、日本は10チーム中5位という成績を残しました。少しずつ順位を上げていくなかで自信をつけていった日本電動車椅子サッカー界。しかし2015年大会は延期。選手たちは前回大会から実に「6年」という長い期間、待ち続けなくてはなりませんでした。彼らにとっての6年は、想像以上に長い時間です。その間、志半ばで競技から離れた選手、病状悪化で代表を諦めた選手も多くいます。そんな彼らの想いを一心に背負って、いよいよ第3回電動車椅子サッカーW杯に日本代表が出場します。7月5日から9日までの4日間、アメリカ・フロリダ州キシミーで行われる第3回電動車椅子サッカーW杯は、過去2大会で優勝している強豪でホスト国のアメリカや、競技の発祥の地フランスなど計10ヵ国が参加。6年ぶりとなった大会で、世界王者を目指す熱い4日間となります。
日本はグループA、開催国アメリカと同組
10チームは5チームずつ2つの組みに分かれ、グループリーグを戦います。各グループ上位4チームが決勝トーナメントへ進み、優勝を手にする権利を得ます。そして注目のグループ分けは以下の通り。
—————————————————————-グループA—————————————————————-アルゼンチン
日本
アメリカ
—————————————————————-グループB—————————————————————-
フランス
カナダ
オーストラリア出場チーム詳細については下記URLを参照してください!(英語)
Fipfa.org | FIPFA – Fédération internationale de Powerchair Football
決勝トーナメントの組み合わせは以下の通り。他に順位決定戦があります。
世界に挑む、8名の日本代表選手たち!
今大会に出場する日本代表選手は8名。前回大会から6年、数多くの選手がW杯出場を夢見て競い合ってきました。選ばれた8名は、選ばれることのなかった選手たちの想いをも背負ってアメリカに旅立ちます。
塩入新也(ナンチェスターユナイテッド鹿児島)PF1 キャプテン
2大会連続。今大会ではキャプテンに任命され、チームを牽引。所属するナンチェスター・ユナイテッド鹿児島では、同僚の東選手とは阿吽の呼吸で、3月のドリームカップではわずか3名のメンバーで優勝を成し遂げました。
吉沢祐輔(レインボー・ソルジャー)PF1 副キャプテン
3大会連続。穏やかな性格かつ沈着冷静で、自陣深くから冷静に戦況を見極める参謀タイプ。日本代表では副キャプテンとして塩入選手をサポートします。同僚の北沢選手とは長らくコンビを組む間柄で、息もぴったりです。
北沢洋平(レインボー・ソルジャー)PF1
3大会連続。チームでは不動のエースとして君臨。ゲームを組み立て、時には積極的に前線へと仕掛けていくスタイルをもつ、国内の電動車椅子サッカーにおいてのキープレイヤー。その豊富な経験を新たなメンバーと、どう共有していくか注目です。
竹田敦史(横浜クラッカーズ)PF2
W杯初出場。所属する横浜クラッカーズでは、複数の役割をこなすユーティリティ性のある選手です。体力を生かしたハードなプレイが持ち味。同僚の三上選手との愛称は抜群です。
内橋 翠(レインボー・ソルジャー)PF1
W杯初出場。激しい当たりも厭わないアグレッシブなプレイスタイルは国内大会でも注目の的です。今大会に出場すれば、日本電動車椅子サッカー史上初の女性プレイヤーとして歴史に名を刻むことになります。
東 武範(ナンチェスター・ユナイテッド鹿児島)PF1
W杯初出場。肉体改造など、ストイックなまでに電動車椅子サッカーに打ち込む姿勢は、他チームの選手にも大きな影響を与えています。3月のドリーム・カップでは精度の高いプレイを見せ、観客の度肝を抜きました。
内海恭平(レッドイーグルス兵庫)PF2
W杯初出場。所属のレッドイーグルス兵庫では、その体力を武器に猛然とアタックするプレイスタイル。昨年の日本選手権では準優勝の立役者となりました。
三上勇輝(横浜クラッカーズ)PF2
W杯初出場。チームでは過去キャプテンを務めるなど、チームリーダー的な存在でもあり、同時にムードメーカーでもあります。冷静な判断力と強烈なシュート力で、今大会では得点王を狙えるかもしれません。
PF1…パフォーマンス全体に影響を及ぼす相当に重度の障害を持つ選手PF2…パフォーマンス全体に影響を及ぼさない中程度の障害で、基準を満たす選手
PF2の選手は大会では最大2名まで同時に出場可能です。現地で正式なクラス分けがされることになりますが、これが国際的な格付けになるため、日本の電動車椅子サッカーの未来にとっても、重要な格付けになります。
グループAの展望は…
日本は優勝国筆頭のアメリカと同組になり、厳しい印象を受けやすいですが、2007年大会で準優勝したフランス、2011年大会で準優勝のイングランド、そして競技の歴史が長いカナダの3ヵ国が同居したグループBに比べ、与し易いグループに入ったと言えそうです。もちろん優勝候補のアメリカは手強いですが、2013年にFIPFAに加盟したばかりのアルゼンチン、2014年加盟のウルグアイは歴史が浅く、その実力は未知数。警戒すべきは世界での経験が豊富なデンマークか。アメリカのが予選突破の1枠を得るとして、残り4チーム、なかでもデンマークとの一騎打ちになるのではないでしょうか?そのためには、日本は南米2ヵ国に勝って確実に勝ち点を積み上げる必要があります。もちろん油断はできませんが、初戦アルゼンチン戦で会場の雰囲気に慣れ、デンマーク戦で勝ち点を積み上げること。楽な状況でアメリカ戦に挑むことができれば、予選突破は見えてきそうです。今大会注目したいチームは…
世界情勢にはあまり詳しくないですが、独断と偏見で注目チームを上げてみたいと思います。アメリカやはり優勝候補のアメリカは要注目。電動車椅子サッカーでは最高性能を誇るマシン「ストライクフフォース」を世に送り出すアメリカは、文字通り電動車椅子サッカー界を牽引する存在です。そのアメリカに日本がどう立ち向かうのか。またアメリカの戦術がどんなものなのか注目したいですね。
日本我らが日本代表です。キャプテン吉沢選手(レインボー・ソルジャー/東京都)、北沢選手(レインボー・ソルジャー/東京都)を始め、前回大会に出場経験のある選手が脇を固め、勢いのある若手選手がチームを引っ張ります。悲願の優勝なるか、一試合も見逃せません。
http://www.web-jpfa.jp/admin/news/pdf/p11379582489.pdf
イングランドイングランドプレミアリーグの主要チームが電動車椅子サッカーチームを有し、国内リーグが存在するなど、競技として比較的認知されているイングランド。前回大会で準優勝といいう結果を収めたこの国は、間違いなく決勝トーナメントに上がってくるでしょう。
https://www.thewfa.org.uk/news/england-announce-2017-fipfa-world-cup-squad
フランス電動車椅子サッカー発祥の国。日本で採用されている競技ルールはフランスのルールを基準に制定されています。言ってみれば日本電動車椅子サッカー界にとっては育ての親??このチームも、決勝トーナメントに勝ち上がる可能性があり、日本との対戦機会も十分にあると言えるでしょう。
LIVE中継決定!みんな一緒に応援しよう!
さて今回の大会はLIVE配信が決まっています。日本でも彼らの戦いが見られます!いい時代になりましたね。
まずは上位2チームに入ることを目標に、アルゼンチンとの初戦で勢いをつけて欲しいところです。時差の関係もあって、かなり眠い時間のライブ中継になりますが、世界で戦う彼らに熱いエールを送りましょう!
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配信URL↓↓↓ 電波状況で変更になる可能性があります。
FIPFA World Cup Live Scores | Powerchair Football
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(了)