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時速6km、緻密な神経戦を制したのは…
時速6kmカテゴリで決勝に駒を進めたBLACK HAMERSとバレッツ。おそらく初めての顔合わせとなる両チーム、どんな試合展開になるのか。

選手登録3人で今大会に挑むBLACK HAMERSは、埼玉からの参戦。10#石井佑季選手がその存在感でチームを引っ張ります。埼玉県では唯一活動しているチーム。その歴史は古く、1995年から20年以上も活動を続けています。対するバレッツは長野県下諏訪市で活動をしており、中部ブロック予選ではWings、FCクラッシャーズとも対戦経験があります。

BLACK HAMERS。左から12#猪瀬剛監督兼選手、10#石井佑季選手、9#長澤優希キャプテン。

バレッツ。左から2#山浦吉貴選手、3#木村和彦選手、4#有坂嗣郎選手、7#瀬田川和希選手、9#児玉祐悟キャプテン。
前半
1回戦で互いに大量得点を重ねた両チームですが、決勝戦ではお互いに様子を伺う慎重な滑り出し。序盤は互いのセットプレーがうまく決まらないなど、タイトルの重圧を感じます。2#山浦選手が中心となって攻め込もうとするバレッツ。守っては3#木村選手がBLACK HAMERSの攻撃を体を張って受け止めます。

攻撃の先鋒を切る2#山浦選手。

序盤はGKとしてゴールマウスを守る3#木村選手。
BLACK HAMERSは9#長澤選手のキックインを、コーナートライアングル付近に構える10#石井選手に当て、ダイレクトにゴールを狙っていきます。

攻撃センスが光る10#石井選手。無駄のない動きを見せます。
バレッツが弾き返すセカンドボールを9#長澤選手が拾い、再び攻める展開が続きます。前半はほとんどバレッツ陣内のみでボールが動いていました。

反撃を試みようとするバレッツ。ようやく相手陣地に入れたのは、試合開始から14分の事でした。そして、相手陣内のキックインから16分に最初のシュートをマーク。

フィールドプレイヤーに変わって積極的に攻撃参加する3#木村選手。
4#有坂選手にかわって、9#児玉選手を投入。さらに、GKからフィールドプレイヤーへ変更し、前線へボールを供給しようと試みる3#木村選手。しかし中盤に構えた9#長澤選手が押し戻してバレッツの思い通りにさせません。試合は段々と神経戦の様相を呈してきました。

19分には3#木村選手のキックインを弾いたこぼれ球に2#山浦選手が合わせますが、ギリギリゴールを逸れていきました。その後もBLACK HAMERSが堅実にゲームを進めて前半が終了します。スコアは動かず、BLACK HAMERS優勢のまま後半へ突入!
後半に入ってバレッツは9#児玉選手を下げ、再び4#有坂選手を投入。圧巻は後半3分。ドリブルを駆使して攻め込む2#山浦選手と、自陣に入らせない9#長澤選手との競り合いは、途中、2on1の笛が吹かれるまで実に2分にも及ぶ白熱した鍔迫り合いに!バンパーを激しくぶつけながらもラインを割らず、旋回と後退を使い分ける両者の巧みなマシンさばきに魅せられます。緻密なコントロールが可能な時速6kmではこのような競り合いも見所のひとつです。

静かに火花を散らす両者!
こう着状態に陥った決勝戦。しかし後半5分、ついにバレッツの守備陣が崩れます。バレッツ陣内で高く跳ね上がったボール。直後のドロップボールのこぼれ玉から得たキックインボールを、守備陣の間隙をついて押し込んだのは10#石井選手でした。

追うバレッツ。時間はまだたっぷりあります。しかし10#石井選手が今度は壁のように立ちはだかり、4人目の選手の分まで動き回ります。その後、バレッツもギアを上げ、何度か危険な状況を作り出します。後半10分には7#瀬田川選手が12#猪瀬選手と1対1になるシーンも。

完封に抑えた12#猪瀬選手。

バレッツも最後まで集中力を切らさず善戦しましたが、反撃実らず。驚異的な機動力を発揮するBLACK HAMERSは、結局虎の子の1点を守りきり、試合終了!見事時速6kmカテゴリの優勝を飾りました!数的不利をはねのけた背景には、選手同士の絶対的な信頼関係があるのかもしれません。試合が終わったあとの3人からは、チームの良い雰囲気が伝わってくるようでした。
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時速6kmカテゴリ決勝戦 RESULT
BLACK HAMERS(埼玉)1 VS 0 バレッツ(長野)
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新カテゴリの王者、決す!
そしていよいよ時速10km決勝。地元の声援を受けて連覇を狙う横浜クラッカーズと、マリノスカップでは常に決勝で顔を合わせてきた好敵手、FCクラッシャーズの顔合わせです。地元開催のカップ戦であり負けられない横浜クラッカーズ。対するFCクラッシャーズはここでタイトルを獲得し弾みをつけたいところ。
横浜クラッカーズのスターティングメンバーは、キャプテンの9#紺野選手、10#竹田選手、17#永岡選手、7#三上選手。

対するFCクラッシャーズのスターティングラインアップはキャプテン14#佐藤選手がGK、4#森山選手、2#大塚明宏選手、そして11#飯島選手。両チームともベストの布陣で挑みます。

前半
前半開始早々は、互いに一進一退の攻防。横浜クラッカーズは11#飯島選手と4#森山選手が仕掛ける攻撃をいなすと、すかさず17#永岡選手と7#三上選手がカウンターを仕掛け駆け上がります。カウンターの応酬が始まりました。

前半6分には17#永岡選手のキックインがパイロンを直撃。惜しくもゴールとはならず。

逆に7分には11#飯島選手の放ったシュートを9#紺野選手がクリア。しかしそのボールは4#森山選手に当たり勢いをつけて横浜クラッカーズゴールへ。ボールは脇へそれて、あわやの失点は避けられました。球速の早い時速10kmカテゴリは息つく暇なし。

そんな中、突如試合が動きます。前半9分、11#飯島選手が放った自ゴール近くからのキックインは、7#三上選手に一度は跳ね返しされるものの、11#飯島選手自ら再びこぼれ球を拾ってゴールエリア内へ侵入。競り合いの最中、ボールの処理を誤ったクラッカーズ守備陣の一瞬の隙を逃さず、そのままねじ込みゴール!FCクラッシャーズが大きな先制点を挙げます。

追いかける横浜クラッカーズは、17#永岡選手がボールを保持して駆け上がりますが、4#森山選手と11#飯島選手に阻まれてなかなか前に進めません。

ここで横浜クラッカーズは一旦17#永岡選手に替えて5#清水猛留選手を投入。直後に再び17#永岡選手を戻すと、続く13分には9#紺野選手に替えて5#清水選手を再投入。彼を守備の位置に置き、10#竹田選手がリベロとして自由に動き回る戦術をより鮮明にします。プレイに勢いのある10#竹田選手は、守備に攻撃にと巧みに動き回り、FCクラッシャーズに追加点を与えません。


前半は互いに牽制し合いながら終了。FCクラッシャーズ1点先行で後半へ折り返します。
後半
後半は1点を追う横浜クラッカーズが先に仕掛けます。リベロを10#竹田選手から、より攻撃的なアタッカー7#三上選手に変更。17#永岡選手も加わって攻撃に厚みを増します。相手の攻撃の芽はいち早く10#竹田選手が摘み取り、取りこぼしは5#清水選手がしっかりフォロー。

後半巻き返しを図るために戦術のテコ入れを試みる平野監督。
対するFCクラッシャーズは、横浜クラッカーズの猛攻を凌ぎながらチャンスをうかがいます。ゲームの組み立てと守備は11#飯島選手が担い、17#永岡選手や7#三上選手を4#森山選手が阻みに行く戦術。そして隙あればロングシュートを狙います。

その後、FCクラッシャーズはボールを支配すると、キックイン&コーナーキックの繰り返しパターンに持ち込みます。残り時間が刻々と減り、じりじりした展開が続きます。こう着状態をなんとか抜け出したい横浜クラッカーズ。後半10分、ゴールを守っていた5#清水選手から9#紺野選手に交代し、10#竹田選手を再びリベロへ。攻撃を活性化させると、続く11分、17#永岡選手のドリブル突破をきっかけに立て続けにチャンスを作るも決めきれず。


FCクラッシャーズは2#大塚選手に替えて20#加藤則行選手を投入し、それまで高い位置にいた4#森山選手、11#飯島選手にも守備固めの雰囲気が見えてきました。


残り時間は5分あまり。横浜クラッカーズにも焦りが見え始めます。細かなミスが重なり、思うようにシュートまで持ち込むことができません。

後半20分、7#三上選手の強いシュートも跳ね返され万事休す。

そして試合終了の長い笛が。この瞬間、FCクラッシャーズ、マリノスカップでの4大会ぶりの優勝が決まりました!!
課題を見出し気づきを生み出す、勝敗以上に意義のある大会
試合後クラッカーズの選手に話を聞くと、「連動不足」を口にしていました。確かに優勝をものにしたFCクラッシャーズ、BLACK HAMERSともに、ボールをつなぎあう「連携」よりも、ボールを保持していない選手も含めた位置どりなど、互いの次の動きを予測しながら動く「連動」に重きを置いていたように思います。3人で挑み4人のバレッツに競り勝ったBLACK HAMERS戦などは、時速6kmの遅い試合運びゆえの相手に対する先読みは当然ながら、自チームの選手の動きも読まなければいけません。それには、常日頃からコミュニケーションを取り合い、お互いがどのような癖を持って動くのか、どんなプレイを期待するのか、またそれに合わせるために自らがど動かなければいけないのかを確認しあうことが必要。そして一番大事なのは、互いを信頼しあうということにほかなりません。それに気がつき、課題を見つけられたという意味で、勝ったチームにも負けたチームにも、それぞれに大きな意義のある大会になったと思います。


勝負事は、勝ちがあれば負けがあるのは当然のこと。この日は勝利の女神は横浜クラッカーズには微笑まなかったということでしょう。それよりも、シーズンが始まったばかりのこのタイミングで得たものを次にどう活かしていくか。10月の日本選手権までに、各チームのさらなる飛躍が期待されます。
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時速10kmカテゴリ決勝戦 RESULT
FCクラッシャーズ(埼玉)1 VS 0 横浜クラッカーズ(神奈川)
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③へ続く