新時代への船出〜第14回横浜・F・マリノスカップ観戦記①

  • 電動車椅子サッカー

新レギュレーションは黒船か、宝船か。

国際基準である「制限速度時速10km」のルールが導入され、電動車椅子サッカーの大会も様変わりすることになった2017年。その初戦となる大会が1月21日(土)に横浜ラポールで開かれました。以前からパラキートブログで取り上げていた「第14回横浜・F・マリノスカップ」(以下マリノスカップ)です。

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昨年のマリノスカップは6チームで争われ、地元の雄、横浜クラッカーズが優勝。この時は従来の時速6kmルールのみで競技は行われました。今年は新レギュレーション導入に伴い、時速6kmと時速10kmの2カテゴリでの開催とるため、参加チームはそれぞれ時速6km、時速10kmのカテゴリを選択してエントリー。マリノスカップは小さな規模の大会ですが、2つのカテゴリで同時に開催される初めての大会になります。

時速10kmカテゴリは

・横浜クラッカーズ(横浜)

・横浜ベイ・ドリーム(横浜)

・FCクラッシャーズ(長野)

・Wings(岐阜)

時速6kmカテゴリは

・神奈川連合 グレイズ

・BLACK HAMERS(埼玉)

・クローバーズ(千葉)

・バレッツ(長野)

実は、昨年まで電動車椅子サッカーにはディビジョン制が導入されていました。簡単に言えば

ディビジョン1=競技志向

ディビジョン2=エンジョイ志向

というちょっと曖昧な基準でした。そのためチームにとっては明確な目標が定めにくく、観る側にも違いが分かりにくいなどの問題もありました。 それが今回は国際基準か国内ローカルルールか、という明確なものに変わったため、各チームも目指す目標がはっきりした点は大きいと言えるでしょう。今後の公認大会でも、時速6kmと時速10kmの2カテゴリ制が導入されるのは必至で、チーム方針と目標を明確に定める必要が出てきます。今回の大会は、出場チームにとってはチーム方針を決定して臨む最初の大会となるわけです。今回は残念ながら、昨年の日本選手権の時のような熱い試合レビューをお届けできません。準備不足につき、取材プラン立てられませんでした(泣)。ということで、大会ダイジェストをお送りいたします!

時速10km、注目の新カテゴリがスタート

マリノスカップでは新カテゴリとなる時速10kmカテゴリの初戦は、

Aコート 横浜クラッカーズ(神奈川) VS  Wings(岐阜)

Bコート 横浜ベイ・ドリーム(神奈川) VS FCクラッシャーズ(長野)

横浜クラッカーズ(神奈川) VS  Wings(岐阜)

2014年から数えて3回連続で優勝している地元・横浜クラッカーズ。去年の日本選手権で悪夢の順位なしに終わったものの、新しい年を迎え気持ちを新たにして、この大会に臨みます。

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対するは中部ブロックから参戦のWings。昨年の日本選手権では、初戦のプログレス奈良戦を2-0で突破し、続く2戦目で同じ奈良の奈良クラブビクトリーロードに0-8で完敗。日本一の壁の高さを経験しています。監督兼キャプテンのベテラン8#松浦昌文選手を軸として、4人のメンバーで初戦に臨みました。

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試合は前半5分に7#三上勇輝選手のフリーキックで横浜クラッカーズが先制点。

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前半8分にも9#紺野勝太郎選手のPKが決まり、2点差に。順調に得点を重ねる横浜クラッカーズ。しかしその直後、今度は8#松浦選手の間接フリーキック51#河田選手がすらして、Wingsが1点差に詰め寄ります。大会での時速10kmは昨年3月のドリームカップ以来のクラッカーズ、ここから徐々に連携ミスが目立ち始めます。

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途中28#梅村和輝選手のマシンが暴走するなどアクシデントがありつつも、3人のフィールドプレイヤーで前半をしのぎ切ったWings。後半はさすがの横浜クラッカーズが立て直し、17#永岡真理選手を含めさらに2点を上乗せ。特に3点目となった17#永岡選手の得点は、競り合ったこぼれ球を追いかけてボールを押し込むという、時速10kmの特徴がよく現れた得点シーンでした。

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前半10分に1点を返した51#河田選手。

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攻守にわたって存在感を放つ8#松浦選手。沈着冷静な司令塔として、チームをけん引。

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クラッカーズの攻撃陣の前に立ちふさがり続けました。

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17#永岡選手と8#松浦選手の激しい競り合い。

終わってみれば4-2というスコアで、交代選手のいなかったWingsが2点を返す善戦を展開しました。4点を奪ったとはいえ、横浜クラッカーズとしては素直に喜べない初戦となりましたが、得点も失点も多くなるのが時速10kmの罠。練習で時速10kmに慣れていても、大会では連携の感覚も異なってきます。年初の初戦で課題が見えたことはクラッカーズにとって大きな収穫でしょう。

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時速10kmカテゴリ 1回戦 第一試合(A コート)RESULT

横浜クラッカーズ(神奈川)4 VS 2 Wings(岐阜)

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横浜ベイ・ドリーム(神奈川) VS  FCクラッシャーズ(長野)

大会ホストチームのもう一角、横浜ベイ・ドリームは、マリノスカップ常連となったFCクラッシャーズ(長野)との対戦。横浜ベイ・ドリームは、マリノスカップでは幾度もFCクラッシャーズの後塵を拝しており、何とか雪辱を晴らしたいところでしたが…。試合は前半2点を先行したFCクラッシャーズが、卓越したドリブル技術&正確無比なフリーキック技術が光る11#飯島洸洋選手と、機動力を武器とする4#森山一樹選手を軸として、横浜ベイ・ドリームを圧倒。6-0の大差で、去年に引き続き横浜クラッカーズとの決勝戦へと駒を進めました。

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FCクラッシャーズ不動のエース、11#飯島洸洋選手。その技術は国内屈指です。

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チームに勢いをもたらした4#森山一樹選手。

 

敗れた横浜ベイ・ドリームは、奮闘するも攻守がかみ合わず。今季初勝利をかけてWingsとの対戦です。

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チームに落ち着きを与える10#高林貴将選手。

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鋭いシュートを連発する猛烈果敢なキャプテン9#加藤高明選手。

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守備に奮闘した4#菅野正紀選手。

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時速10kmカテゴリ 1回戦 第一試合(B コート)RESULT

FCクラッシャーズ(長野)6 VS 0 横浜ベイ・ドリーム(神奈川)

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時速6kmカテゴリは新勢力が台頭

国内ローカルルール時速6kmで競われた6kmカテゴリ初戦は、去年の関東大会ディビジョン1で4位と奮闘したBLACK HAMERS(埼玉) VS 神奈川県内のチーム有志が結集したグレイズ(神奈川)との対戦。そして極寒の長野県から参戦したバレッツ(長野) VS 昨年関東大会でディビジョン2で出場したクローバーズ(千葉)の一戦です。言い換えれば去年まで行われていた時速6kmでの試合が今までのディビジョン2に相当するカテゴリとなったわけですが、今年の日本選手権から今大会同様2カテゴリ制を採用する可能性があり、もし実現すれば時速6kmカテゴリにも日本一への道が開けたことになります。日本選手権出場が悲願だったチームにとって、文字通りの新たな時代の幕開けです。

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極寒の長野から参戦、時速6kmカテゴリの台風の目となるか、バレッツ。

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BLACK HAMERSは3#町田竜也選手を欠き、3人での出場を余儀なくされました。

2試合とも予想外の大量得点試合となり、得点が入りにくい時速6kmというイメージを裏切る展開に。BLACK HAMERSは、なんと1人足りない状況ながら、一挙大量12点の荒稼ぎ。またバレッツも、温暖な気候が味方したのか伸び伸びとプレイし8得点。この結果、時速10kmカテゴリのFCクラッシャーズと同じ長野県に本拠を構えるバレッツとBLACK HAMERSが決勝で当たり、クローバーズとグレイズは3位決定戦に回ることになりました。

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時速6kmカテゴリ 1回戦 第一試合(A コート)RESULT

バレッツ(長野)8 VS 0 クローバーズ(千葉)

時速6kmカテゴリ 1回戦 第二試合(B コート)RESULT

BLACK HAMERS(埼玉)12 VS 0 神奈川連合チーム グレイズ(神奈川)

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②へ続く

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「パラキートのパラスポーツ日記」では、一人の障害者サッカーファン「パラキート」が自分の脚でおもむき、自分の目で観て、自分の耳で捉え、自分の指で撮り、自分の頭で考えたママを発信していきます。

記事を通して、競技を取り巻く人・環境・社会問題に触れ、この魅力的な世界に関心を寄せ、寄り添ってくださる方が増えることを願っています。

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『"Pick"=掴み取る、選ぶ」と「"Phat"=格好いい、イカした』を組み合わせた造語を屋号に掲げる「PickPhat」。クライアントの意思を尊重し、選び抜いてイカしたサイトをクライアントと共に作り上げます。代表の加藤高明氏は電動車椅子サッカーチーム「Yokohama BayDream」の選手としても活躍中。

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