- 電動車椅子サッカー
国際基準がついに採用!
実に6年越しのワールドカップイヤーを迎えた電動車椅子サッカー。
今年は日本電動車椅子サッカー界にとって大きな変革の年となりそうです。
以前の記事で、電動車椅子サッカーの国内ルールと国際ルールの
ギャップについてお話ししましたが
その中で最も大きな懸念となっていた競技車の最高時速ルールについて、
ついに国際ルールが導入されることになりそうなのです。
国際ルールでは時速10kmが最高時速。
一方で、日本では道路交通法の制約があり時速6kmが最高時速でした。
例外的に毎年3月に行われる「ドリームカップ」では時速10kmが採用されましたが、
国内最高峰の大会「日本選手権」でさえも、時速6kmというローカルルールで
進められてきました。
昨年の日本選手権の様子。来年は戦術が大きく変わることになります。
時速6kmと10kmでは、例えるならば卓球とテニスほどの違いがあります。
時速6kmの場合、転がるボールに追いつくというシーンはほぼありませんが、
時速10kmになるとボールに追いつくことが可能になり、さらにプレイの先読みと
連携プレイが重要になります。もちろん、競技の迫力もさらに倍増するのです。
参考:時速10kmでの試合の様子はこちら。
https://www.youtube.com/watch?v=PTaqMZIlIps
この「ローカルルール」の存在は海外との競争力を弱めることにつながり、
強豪アメリカを筆頭とした他国に大きく水を開けられる原因になっています。
なので、このルール改正は日本電動車椅子サッカー界にとって大変革といえるのです。
しかし、今回のルール改正は大きな傷をともなうものになります。
まず選手たちは次の二つの問題をクリアしなくてはなりません。
1.国際基準に適応した電動車椅子への乗り換え
国内で販売されている電動車椅子は道路交通法に準拠し、最大時速6km以上出ないよう
あらかじめ設計されているものがほとんど。時速10kmのクラスで試合に出るには、
時速10kmが出せる海外製の電動車椅子に乗り換える必要があります。
しかし海外製の電動車椅子は非常に高額で、簡単には購入できません。
さらに電動車椅子サッカー用にバンパーの取り付けなど大きな改造が必要で、
そこにも多額の費用がかかります。
つまり、経済的に厳しい選手は国際基準に適応できない可能性が高いのです。
それは日本選手権の勢力図も大きく塗り替えることになるかもしれません。
現在、代表選手を中心に使用されているアメリカ製電動車椅子「ストライクフォース」。
導入時は日本電動車椅子サッカー界に「黒船来襲」のごとく旋風を巻き起こしたそうです。
2.身体的負荷の増加
時速10kmという速度で激しく動くことは、障害の重い選手にとっては
身体的に大きな負担となります。そして、時速10km同士がぶつかり合う衝撃は
電動車椅子が転倒するほどの衝撃になります。
体力面においても、選手にとっては苦渋の決断を迫られることになるのです。
ボールのみならず車体も浮き上がり、場合によっては転倒もあり得ます。
競技の迫力は上がりますが、危険性も増すことになります。国際基準はかなり荒々しいのです。
2017年最初のタイトル戦は時速10kmと6kmの2カテゴリ構成
さて、そんな大変革の嵐吹き荒れる電動車椅子サッカー界。
その初戦となる第14回横浜・F・マリノスカップの開催が決定しました。
国際ルールへの準拠を反映して、カテゴリが時速10kmと6kmの2つに分けられる
初の試みで、時速10kmと時速6km、それぞれの競技性を見比べることのできる
絶好の機会となります。
7月に迫ったワールドカップの最終代表選考まであと1ヶ月を切った状況で、
出場チームの中で代表選考に絡む選手たちにとっては、
最後のアピールの機会になりそうです。
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【第14回横浜F・マリノスカップ-電動車椅子サッカー横浜大会-】
日時 : 2017年1月21日(土)10:00〜19:00
会場 :障害者スポーツ文化センター横浜ラポール メインアリーナ
アクセス http://www.yokohama-rf.jp/rapport/access/
電動車椅子サッカーの体験コーナーも開設されます。
私が試乗した、時速10kmの世界をぜひ体感してみてください。
集合 :メインアリーナ受付前14:00集合(開催14:10〜14:50)
会場 :障害者スポーツ文化センター横浜ラポール メインアリーナ
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(了)
※記事内のルール変更については、さらに変更になる可能性があります。
※大会のレギュレーションは変更になる可能性があります。