横浜クラッカーズの練習にお邪魔してきました。

  • 電動車椅子サッカー

 

横浜クラッカーズ、来シーズンに向けた練習再開

  

熱闘のうちに閉幕した日本選手権から早くも1ヶ月。

シーズンオフに入り、来年を見据えて再開した横浜クラッカーズの練習を

見学させていただけるということで、十日市場の小学校体育館にお邪魔してきました。

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練習開始時間からやや遅れて、コーチの渡辺氏とともに会場入り。

すでに選手たちは集まっており、総監督の金田氏を囲んでミーティングが始まっていました。

私も輪の中に入り緊張の面持ちで自己紹介をさせていただいたのですが、

パラキートブログを読んでくださっていたとのことでひたすら恐縮しておりました…。

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この日、練習に参加したのは5選手。

折しもこの週末は、日本代表候補選手の合宿と重なっており、

代表候補として選出された三上選手、竹田選手は不在でした。

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普段は紅白戦が出来るほどの人数で練習を行うとのことですが、

今回は紅白戦が行えない代わりに、セットプレイやパスの練習など、

基本的な戦術や技術の確認に時間をしっかりかけることになりました。

 

またこの日は平野監督も不在。

電動車椅子サッカーの戦術指南は後日の楽しみに取っておくことに。

 

総監督から来季に向けての報告を受けた後、ウォーミングアップ開始。

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11月後半の体育館は、日中でも上着を着ないと直ぐに手がかじかむほどの寒さです。

室内履きを忘れてきてしまったことを後悔するほど、身体が芯から冷えていきます。

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長時間練習する選手達、防寒対策はバッチリです。

今まで4つの大会を観戦し、うち2回はフィールド脇からかなり間近で観ることができました。

しかし不思議なもので、いざ練習となると、選手との距離はより近づいているのに、

試合とはまた違う距離感を感じるのです。

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目の前にいるのはあの全日本選手権での激闘を演じたトップチーム。

そして国内屈指の技術を持った選手たち。

何よりもその高いモチベーションと集中力に気圧されます。

私がミーハーなのを差し引いても、独特の空気が選手との距離感を感じさせるのか、

終始緊張しながらの見学となりました。

撮影の許可を頂き、カメラも持ってきていましたが、結局最初のシャッターを切るまで

2時間もかかってしまいました。

 

…と、そこへ黄色の電動車椅子を押してくる金田総監督が。

「パラキートさんも乗ってみますか」

金田総監督のご厚意でなんと私も電動車椅子に試乗させていただけることになりました!

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金田総監督が乗っているこの黄色の電動車椅子に、今回試乗させていただけました。

 

試合の中で選手は縦横無尽にマシンを操り、華麗なプレーを見せていますが、

見るのと乗るのとでは大違い。

恐る恐る座席に収まり、レクチャーを受けるまま操作レバーにほんの少々触れるだけで、

「ガクン!」と動き出す車体。かなり繊細にチューンされているのかと思いきや、

日頃生活をしているのとほぼ同じセッティングなのだそうです。

日常車も、選手たちが触ればたちまち競技マシンに変わってしまうわけですね。

(もちろん日常生活で使用する場合はそれに合わせたプログラムを変更しています)

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さて、基本操作を教えて頂いたら、今度は選手に混じって動いてみます。

はじめは基本的な動作の反復。

左右スラローム、前後左右と右回転左回転。これがまた異様に難しいのです。

回転やスラロームでレバーを傾けるたびに車体を浮かしたり吹かしたり。

鮮やかなスラロームを描く選手たちの脇で、挙動不審な電動車椅子が約1台…。

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ある程度の操作を終えたところで、国際基準の時速10kmを体感してみることに。

レバーを全開で傾けると、そこにはワールドクラスの世界が見えてきます。

各国の選手たちはこのスピードのなかで、競い合っているのです。

 

国内最高峰の大会、日本選手権でも時速6km。

6km基準と10km基準では、単に速さの問題ではなく、

極端に言い換えればテニスと卓球ほどの差があるのです。。

その4kmの差をどう克服していくのか、これが日本の電動車椅子サッカーの強化に

今後大きく影響してきます。

 

緊張のあまり写真を撮り損ねましたが、動画を撮影したので雰囲気を感じてみてください。

恐怖におそれおののく声が少しだけ入ってますw

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このほか、シュート練習も体験させていただきました。

車体を90度から110度程度回転させて、バンパーのサイドでボールを蹴るわけですが、

もちろん、単純に回転してボールを叩けばいいわけではありません。

微妙にレバーを斜めに入れて、回転しつつ車体をわずかに交代させる動きをプラスして初めて、

まっすぐなシュートを蹴ることができるのです。

こじるような動きというのか、とにかくミリ単位の精密な操作が求められます。

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私は5〜6メートルほど離れたパイロンへ10回程度シュートを打ちましたが、

結局一発かする程度で、あとは見当はずれの方向へどんどん飛んで行ってしまう始末でした。

一方で、クラッカーズの中でもセットプレイを任されている永岡選手は、精度の高いシュートを連発。

何度もパイロンへ直撃させていました。

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正確無比なキックを放つ永岡選手。

 

そしてもう一つ。4分の1回転であっても、とにかく身体や頭が揺さぶられるため、

座っているだけなのに体力の消耗を感じました。

平行感覚が失われ、四肢を突っ張って振り落とされないように筋肉を使うためです。

それは次の日に軽い筋肉痛を感じるくらいのものでした。

永岡選手は「慣れれば気になりません」とおっしゃっていましたが、

セットプレイが多い永岡選手は、試合での体力消耗は特に激しいはずです。

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電動車椅子サッカーの場合、360度回転してのパスやシュートも多用されます。

選手たちは試合中、動きながら瞬時にタイミングを見極め、素早くボールの位置を予測し、

車体の遠心力に耐えながら高速で回転してシュートやパスを放っています。

数日練習しただけでは身につかない、身体に備わった適応能力やセンスを

フルに活用して、選手は試合に臨んでいるわけです。

実際に体験してみることで、電動車椅子サッカーの飛び抜けた難易度が理解できると思います。

ぜひ練習見学だけでなく、体験会にも足を運んでみてくださいね。

  

そんなこんなで、小1時間電動車椅子を乗り回し奇声をあげる小さなおっさんが

そこにいたわけですが、選手の邪魔になっていなかったかが心配…。

  

後半は電動車椅子を降り、セットプレイを中心とした戦術確認を見学。

サイドラインからのキックイン、ハーフライン付近からのセットプレイ、

また相手セットプレイ時のディフェンスのつき方、ゴール前の囮の動き…。

さまざまなシチュエーションを想定し、一つ一つのプレイをメンバー全員で確認しながら、

練習は進められていきました。

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限られた時間の中、コーチや総監督との二人三脚で試行錯誤は続きます。

 

キャプテン紺野選手は積極的に選手を引っ張り、

チームに足りない部分を補うように練習メニューを組み立てていきます。

チームの中でも特に経験豊富な副キャプテンの永岡選手は、

時に諭すように、時に和やかに、メリハリを持って若手選手たちを導いていきます。

このバランスの取れたチームワークが、クラッカーズの強さの秘密なのかもしれません。

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常に話し合いながら戦術共有するキャプテン紺野選手&副キャプテン永岡選手。

 

この日、約3時間の練習のうち、休憩はおよそ15分のみ。

11月には珍しく底冷えの体育館にもかかわらず、集中力の高さは驚くばかりでした。

この日は紺野選手のマシンのバッテリーが予想以上に早く消耗し、

30分ほど早い撤収となりましたが「最後まで練習したかった」と

悔しがる姿は頼もしさを感じました。

 

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昨シーズンからキャプテンを任されている紺野選手。モチベーションがかなり上がっている様子でした。

 

日本選手権の早期敗戦は選手たちに高いモチベーションをもたらし、

確実に「戦う集団」に引き上げたと感じました。

きっと来年のドリームカップ(現時点で出場は未定)、関東予選、

そして日本選手権では再び強豪チームとして他のチームを苦しめることになるでしょう。

 

今回は初めての見学ということもあって、練習のディティールや

選手たちの表情を捉えることがあまりできませんでした。

次回は横浜チーム(横浜クラッカーズ&横浜ベイドリーム)合同練習にお邪魔します。

実戦形式の練習もあるとのことなので、さらに電動車椅子サッカーの魅力を

掘り下げてみたいと思います。

 

(了)

パラキートのパラスポーツ日記とは

「パラキートのパラスポーツ日記」では、一人の障害者サッカーファン「パラキート」が自分の脚でおもむき、自分の目で観て、自分の耳で捉え、自分の指で撮り、自分の頭で考えたママを発信していきます。

記事を通して、競技を取り巻く人・環境・社会問題に触れ、この魅力的な世界に関心を寄せ、寄り添ってくださる方が増えることを願っています。

プログラム制作・HP管理/「PickPhat(ピックファット)」

『"Pick"=掴み取る、選ぶ」と「"Phat"=格好いい、イカした』を組み合わせた造語を屋号に掲げる「PickPhat」。クライアントの意思を尊重し、選び抜いてイカしたサイトをクライアントと共に作り上げます。代表の加藤高明氏は電動車椅子サッカーチーム「Yokohama BayDream」の選手としても活躍中。

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