混戦!〜観戦記⑥ 第22回日本電動車椅子サッカー選手権【2016.10.22〜10.23】

  • 電動車椅子サッカー

勢いに乗れるか九州勢VS地元の利を活かせるか関西勢

準決勝もう一試合は、クラッカーズを倒して勢いに乗る

Nanchester United 鹿児島(九州1位)と、FCクラッシャーズを

接戦の末にかわしたRed Eagles 兵庫(関西2位)の対戦。

レインボー・ソルジャーVS奈良クラブ・ビクトリーロード戦を撮影していたので

前後半通して観戦することができませんでしたが、

Bコートと同じく、試合は大きな盛り上がりを見せていました。

f:id:okina_monkparakeet:20161103091521j:plain

試合は前半終了間際。Red Eagles 兵庫が19#内海恭平選手の1点で先行。

f:id:okina_monkparakeet:20161103091523j:plain
f:id:okina_monkparakeet:20161103091527j:plain

ここで印象的だったのは、両陣営のリラックスした表情でした。

大きな笑いもこぼれ、試合をのびのび楽しんでいるようです。

今大会通して、皆、試合を心から楽しんでいる様子がどの試合でも見られました。

f:id:okina_monkparakeet:20161103091534j:plain

すべての仲間とともに。ハイタッチでピッチに送り出していきます。

f:id:okina_monkparakeet:20161103091531j:plain

Nanchester United 鹿児島も、円陣を組んで気持ちを一つにします。

後半戦はNanchester United 鹿児島の10#東選手と、Red Eagles 兵庫の10#有田選手の

エース同士がマッチアップ。両者の意地が静かに、激しくぶつかり合います。

f:id:okina_monkparakeet:20161103091541j:plain
f:id:okina_monkparakeet:20161103091557j:plain

そして前半に先制点を叩き込んだ19#内海選手、後半戦も積極的に攻め込みます。

f:id:okina_monkparakeet:20161103092858j:plain

この試合、イエローカードが2枚出る荒れた展開に。

イエローカードはサッカーほど出ないだけに、試合の激しさを物語ります。

f:id:okina_monkparakeet:20161103092636j:plain
f:id:okina_monkparakeet:20161103092633j:plain

ギリギリの攻防。エース10#東選手が攻守にわたり、獅子奮迅の活躍を見せます。

Red Eagles 兵庫の急先鋒、4#上月一広選手と幾度も交錯します。

f:id:okina_monkparakeet:20161103092753j:plain

試合はこのままタイムアップ。前半の虎の子の1点を守り抜いたRed Eagles兵庫は、

相手に付け入る隙を与えない完封試合で、ついに決勝の切符を手にしました。

f:id:okina_monkparakeet:20161103093435j:plain

選手をたたえねぎらうコーチ。選手はコーチの期待に応え、安堵の表情。

f:id:okina_monkparakeet:20161103093438j:plain

勝利したRed Eagles 兵庫のメンバーを、笑顔で迎えるNanchester United 鹿児島の

ベンチスタッフ。最後まで気持ちの良い試合を見せてくれました。

決勝は奈良クラブ・ビクトリーロード VS Red Eagles 兵庫、関西勢同士の対決です!

———————-————————————————————————

準決勝 (B コート)RESULT

Red Eagles 兵庫(関西2位)1 VS 0 Nanchester United 鹿児島(九州1位)

————————————————————————————————

王者に何が起こったか

 

レインボー・ソルジャーとNanchester United 鹿児島の対決となった3位決定戦。

決勝進出は叶わなかったものの、メンバー5人で上位を目指してきた

Nanchester United 鹿児島。3連覇の可能性が潰えたとはいえ、

来年にむけて気持ちを切り替えておきたいレインボー・ソルジャー。

f:id:okina_monkparakeet:20161104011018j:plain

レインボー・ソルジャーの長いミーティングが続きます。

集中力を高めている様子が伝わってきます。

f:id:okina_monkparakeet:20161104011015j:plain

Nanchester United 鹿児島は気負いなし。肩の力が抜けた状態で試合に臨みます。

f:id:okina_monkparakeet:20161104011027j:plain

試合は序盤から激しい打ち合いに。前半6分、10#東選手のシュートが決まり

Nanchester United 鹿児島が先制。

f:id:okina_monkparakeet:20161104011045j:plain

準決勝に引き続きビハインドを追う展開となったレインボー・ソルジャー、

焦りはないものの、確実に攻勢を強めていきます。

f:id:okina_monkparakeet:20161104011102j:plain

そして10#東選手のゴールからわずか3分後、6#内橋選手が執念のこもったゴール。

GKとポストのわずかな隙間をこじ開けるような破壊力のあるシュートを決め、

ゲームを1-1のタイに。ディフェンディングチャンピオンの意地を見せつけます。

f:id:okina_monkparakeet:20161104011057j:plain

試合は後半に入ってもフルスロットル。

ゴールゲッターの6#内橋選手を封じに行くNanchester United 鹿児島。

f:id:okina_monkparakeet:20161104011032j:plain
f:id:okina_monkparakeet:20161104011105j:plain

試合が激しくなってくるにつれ度々試合が止まり、審判から指導が入ります。

f:id:okina_monkparakeet:20161104011110j:plain
f:id:okina_monkparakeet:20161104011048j:plain

そして後半9分、11#塩入選手の振り抜いたシュートはレインボー・ソルジャーの

ゴールを割り、ついに勝ち越し点をマーク。

11#塩入選手は値千金のゴールにこの表情を見せます。そして沸き立つベンチ!

自陣ゴールをひたすら守りきる13#野下小百合選手。高い集中力!

f:id:okina_monkparakeet:20161104011117j:plain

攻め続けるレインボー・ソルジャー。意地のぶつかり合いです。

f:id:okina_monkparakeet:20161104123957j:plain

10#北沢選手のシュートを11#塩入選手がブロック!

f:id:okina_monkparakeet:20161104123950j:plain

ペナルティエリアへ突進する8#吉沢選手。10#東選手がそれを阻みます。

そして試合はこのまま終了。3位はNanchester United 鹿児島、

昨年王者のレインボー・ソルジャー、失意の4位となりました。

f:id:okina_monkparakeet:20161104123947j:plain

試合を終え、互いに称え合う両チーム。

f:id:okina_monkparakeet:20161104124608j:plain
f:id:okina_monkparakeet:20161104123720j:plain

王者に何が起こったのか、今大会まさかの4位に終わったレインボー・ソルジャー。

しかし意外なことに、4位という予想外の結果に終わったことへの苦さよりも、

大会を終え安堵したような選手たちの表情が印象に残りました。 

もしかしたら、3連覇の重圧から解放されたのだからとにかく試合を楽しもう、

という気持ちで3位決定戦に挑んでいたのかもしれません。

Nanchester United 鹿児島は、優勝候補を次々撃破したことで成長に手応えを得て、

またレインボー・ソルジャーは来季に向け新しい気持ちで、再びそれぞれのホームへ

戻ります。来年はどのような試合を見せてくれるのか、とても楽しみになりました。

———————-————————————————————————

三位決定戦 RESULT

Nanchester Unites 鹿児島(九州1位)2 VS 1 レインボー・ソルジャー

(北海道・関東2位)

————————————————————————————————

平均年齢対決!最年長VS最年少!

決勝前に、1回戦で敗退したチームとのエキシビションマッチが2試合行われました。

1試合は、敗退チームの混成メンバーVS SONIC〜京都電動蹴球団

そしてもう1試合はERST 広島M.S.C とスクラッチ香川の1戦。

パラキートは昨日アクシデントでほとんど撮影できなかったので、

再びERST広島を追いかけることにしました。

監督兼選手である10#中野選手。キャプテンシーの光るシーンが随所に見られました。

試合前のシュート練習。10#中野選手の厳しく優しい指導の元、念入りに行われます。

f:id:okina_monkparakeet:20161104132418j:plain

試合前には、20#シンヤ選手に指示を与えます。分かりやすく、丁寧に。

f:id:okina_monkparakeet:20161104132422j:plain

対するスクラッチ香川。参加16チームの中でも、年齢層の比較的高いメンバーで

構成されています。監督は選手も兼任する25#宮脇孝芳選手。

四国ブロック予選はレッドホエールズ(高知)を下して勝ち上がりました。

数少ない四国勢のためにも、四国ブロックとしての痕跡を残しておきたい今大会です。

f:id:okina_monkparakeet:20161104134424j:plain

しかし、年齢が5倍も離れている相手と組するスクラッチ香川にとって、

ERST広島はやりにくい相手であることは間違いないはずです。なぜなら…。

f:id:okina_monkparakeet:20161104135342j:plain

試合前の挨拶時から審判たちはすでにこの表情…。

クラッチ香川の面々は、なんとなくアウェー感を感じていたかもしれませんね。

観客も私もメロメロだったので無理もないですのが、公正な判定を期待します!

f:id:okina_monkparakeet:20161104134808j:plain

かくして試合は始まりました。

年齢的にも、3人VS4人と人数的にも優位に立つスクラッチ香川。

しかし、コントロールに精彩を欠き、思うようにボールがつながりません。

対するERST広島は、10#中野選手が攻めに守りにと大奮闘。

小学生コンビへの指示をしながらの、まさに一騎当千の活躍!!

f:id:okina_monkparakeet:20161104132434j:plain

試合中も常に二人から目を離しません。見守りながら、時には鋭く指示を与えます。

f:id:okina_monkparakeet:20161104132456j:plain

もちろん小学生コンビも大奮闘。ベンチからの指示を受けながら、

忠実に役割をこなしていきます。

鋭いパスやシュートが持ち味の5#堀家芳文選手も思うように仕事ができません。

f:id:okina_monkparakeet:20161104132431j:plain

厄介な司令塔25#宮脇選手へは徹底マンマーク

ベンチからの指示は「25番!!その赤い人について!!赤い人!!」

食らいつく10#シンヤ選手。「赤い人」25#宮脇選手、たじたじですw

f:id:okina_monkparakeet:20161104132428j:plain

食らいつく!

f:id:okina_monkparakeet:20161104132444j:plain

とにかく食らいつく!

f:id:okina_monkparakeet:20161104141542j:plain

25#宮脇選手、前線の5#堀家選手へ絶妙なパス。それを5#堀家選手が強烈なシュート!

f:id:okina_monkparakeet:20161104140530j:plain
f:id:okina_monkparakeet:20161104141017j:plain

公式戦2試合目の12#ケン選手がファインセーブ!!!

周囲の黄色い歓声(ベンチからの指示)とは裏腹に、手に汗握る展開です。

f:id:okina_monkparakeet:20161104140614j:plain

途中審判からもルールについての説明を受ける12#ケン選手。一つ一つが勉強。

審判も公正な判定。職務を実直に全うしていきます!

f:id:okina_monkparakeet:20161104132508j:plain

12#ケン選手のバックアップで10#中野選手も安心して前へあがることができるように。

f:id:okina_monkparakeet:20161104144128j:plain

エース10#中野選手、相手が攻めあぐねている状況を決して見逃しませんでした。

なんと立て続けに大量3ゴールを挙げ、守備で貢献する二人に報います。

f:id:okina_monkparakeet:20161104142427j:plain
f:id:okina_monkparakeet:20161104141922j:plain
f:id:okina_monkparakeet:20161104143334j:plain

予想外の劣勢に重苦しい表情のスクラッチ香川ベンチ。

f:id:okina_monkparakeet:20161104153302j:plain

二人の守備のおかげで自由に動き、決定機を逸しなかった10#中野選手。

その決定力から日本代表に選ばれたワールドクラスの片鱗を見ることができました。

f:id:okina_monkparakeet:20161104143337j:plain

大量のアドバンテージを手にしたERST広島。

展開が少し楽になりましたが、まだまだ気は抜けません。

後半からは、GKポジションをしっかり守っていた12#ケン選手も攻撃に加わります。

f:id:okina_monkparakeet:20161104144134j:plain

20#シンヤ選手にアクシデント発生!「止まった!」大声でベンチに訴えます。

ベンチに緊張が走った次の瞬間「あ、動いた…(^^」。

f:id:okina_monkparakeet:20161104153253j:plain

これにはベンチも審判も、相手陣営すらも大爆笑。場の雰囲気が和みます。

f:id:okina_monkparakeet:20161104152222j:plain

このままでは終われないスクラッチ香川、攻撃に転ずるシーンが増えます。

10#高島正貴選手の積極的な駆け上がり。しかしシュートに持ち込めない!

f:id:okina_monkparakeet:20161104144524j:plain

26#近藤進選手のシュート!しかしこれもゴールをそれていきます。

f:id:okina_monkparakeet:20161104144618j:plain

そして試合は終わりの笛を迎えます。軍配は3-0でERST広島M.S.Cに上がりました!

f:id:okina_monkparakeet:20161104132446j:plain

皆が気力を振り絞った30分間。ERST広島に胸を貸す形になったものの、

終始自分たちのペースに持ち込むことができず決定機に見放されたスクラッチ香川。

試合への入りにくさ、やりにくさは多分に影響したかもしれません。

遠慮もあったのか、ERST広島へ強く当たりに行けなかったようにも感じました。

しかしこれは勝負事。

数的、経験的な有利を生かせなかったことは今後のチームの成長にとって課題ですが、

それは飛躍的にチームが強くなるための、大きなチャンスにもなるはずです!

f:id:okina_monkparakeet:20161104132517j:plain

険しい表情の10#高島選手。目線の先のスコアボードを見据えて何を思う…。

一方、試合を終えてベンチを見やり、ホッとした表情の20#シンヤ選手。

終始張り詰めた表情だった彼も、この時ばかりは子供らしい表情へ戻りました。

f:id:okina_monkparakeet:20161104132515j:plain

応援してくれた観客席にぺこりと挨拶。もちろん実力での勝利ですが、

その可愛らしさにはほとんどの観客が虜になっていました。

f:id:okina_monkparakeet:20161104132521j:plain

彼らのひたむきなプレーが話題性十分だったことはもちろんのことですが、

今大会、未来を担う若い選手が活躍したことは、長期間での成長の展望が

比較的難しい電動車椅子サッカー界において、とても大きな収穫になりました。

彼らが電動車椅子サッカーに情熱を注ぎ続け、それに続こうとする選手たちが

新たに生まれてくること、電動車椅子サッカーを通して生きがいを見つけ、

ポジティブになっていく人が増えることを願ってやみません。

さあ、いよいよ残るは決勝の1試合のみ!!

ついに日本一が決まります。

———————-————————————————————————

エキシビションマッチ Aコート  RESULT

混成チーム 0 VS 0 SONIC〜京都電動蹴球団(関西5位)※引き分け延長なし順位つかず

エキシビションマッチ Bコート  RESULT

ERST広島M.S.C 3 VS 0 スクラッチ香川(四国1位)※順位つかず

 

————————————————————————————————

⑦へ続く

パラキートのパラスポーツ日記とは

「パラキートのパラスポーツ日記」では、一人の障害者サッカーファン「パラキート」が自分の脚でおもむき、自分の目で観て、自分の耳で捉え、自分の指で撮り、自分の頭で考えたママを発信していきます。

記事を通して、競技を取り巻く人・環境・社会問題に触れ、この魅力的な世界に関心を寄せ、寄り添ってくださる方が増えることを願っています。

プログラム制作・HP管理/「PickPhat(ピックファット)」

『"Pick"=掴み取る、選ぶ」と「"Phat"=格好いい、イカした』を組み合わせた造語を屋号に掲げる「PickPhat」。クライアントの意思を尊重し、選び抜いてイカしたサイトをクライアントと共に作り上げます。代表の加藤高明氏は電動車椅子サッカーチーム「Yokohama BayDream」の選手としても活躍中。

記事カテゴリーの見方

ひ と
サッカーを通じて出会った「ひと」を紹介します
サッカーの現場から
サッカーと社会活動などについて紹介します
大会レビュー
大会の観戦レビューをまとめています
クラブ探訪
クラブチームの練習見学や体験会をまとめています