死闘!〜観戦記⑤ 第22回日本電動車椅子サッカー選手権【2016.10.22〜10.23】

  • 電動車椅子サッカー

 決勝の舞台に上がるのはどのチームか

大会は二日目に入り、前日の二回戦で勝ち上がった4チームが、

日本一の座をかけて準決勝で激突します。

会場ではすでに4チームが計測に入り、ウォーミングアップを始めていました。

注目はやはり優勝候補筆頭、レインボー・ソルジャー(北海道・関東2位)

VS 奈良クラブ・ビクトリーロード(関西1位)。関東と関西の盟主同士の激突です。

レインボー・ソルジャーは過去2大会連続優勝。今大会は3連覇がかかっています。

すでに幾度もレインボー・ソルジャーの試合を観戦していますが、パスの正確性、

ポジショニング、そして戦略、どれを取っても別格。圧倒的な存在感を放ちます。

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チームの要、10#北沢選手。大会MVP常連のミスター・パワーチェア・サッカー。

そして注目は2回戦ハットトリック6#内橋翠選手。非常にアグレッシブな選手です。

対する奈良クラブ・ビクトリーロード。

2回戦でWings(中部2位)に大量8点という猛攻を見せた、その攻撃力に注目です。

日本選手権では過去多くの実績を残しながら、ここ5大会はレインボー・ソルジャーに

3度優勝を阻まれています。レインボー・ソルジャー戦は避けて通れない壁なのです。

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そして2回戦で怒涛の6点を決めた11#中井皓寛選手。この試合も爆発なるか。

先制はビクトリーロード!

レインボー・ソルジャーのキックオフで前半開始。

小気味好いボールの繋ぎで序盤から攻め立てるレインボー・ソルジャーに対し、

奈良クラブ・ビクトリーロードは3#山田貴大選手をはじめとした積極的な守備で、

その猛攻をいなしていきます。しかし攻撃の手を緩めないレインボー・ソルジャー。

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積極的にプレスをかけにいく3#山田選手。

レインボー・ソルジャーのボール支配が続く中、最初に試合を動かしたのは、

劣勢の奈良クラブ・ビクトリーロードでした。前半10分、セットプレーのこぼれ玉を

前目に詰めていた3#山田選手から11#中井選手へとうまく繋ぎ、

振り抜いたボールは一直線にゴールへ!欲しかった先制点をものにします!

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次々と39#大代監督の元へ駆け寄る選手達!チーム内のいい雰囲気が伝わってきます。

思わぬ先制を許したレインボー・ソルジャーは、前半の攻勢をさらに強めていきます。

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GKポジションで構えていた3#村石彬選手も、セットプレーでは積極的に

相手陣地へ入っていきます。

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8#吉沢祐輔選手、10#北沢選手が仕掛けるも、ビクトリーロードは堅い守備で

チャンスを潰していきます。

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クラッシュで選手を飛び越えるほど荒ぶり、高く飛び跳ねるボール。

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熱を帯びるあまり、11#中井選手がラフプレーで審判から注意を受ける場面も。

まさに白熱の準決勝になっています。

序盤ハイレベルに進んだ前半は、このまま1−0で奈良クラブ・ビクトリーロードが

リードしてハーフタイムを迎えます。

1点を追うレインボー・ソルジャーは後半3分、10#北沢選手のキックインを

8#吉沢選手が車体のサイドで巧みにすらし、待ち構えていた6#内橋選手が

絶妙なコントロールシュート!早い時間で同点に追いつきます。

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やはり決めてきた6#内橋選手。冷静な判断が光ります。

そのまま勢いに乗りたいレインボー・ソルジャーですが、

後半に入って動きの良くなった奈良クラブ・ビクトリーロードに攻め込まれるシーンも

増え、前半よりも均衡した試合の流れに、なかなか乗り切れません。

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後半も変わらず食らいついていく3#山田選手。試合を通して献身的に守り続けました。

レインボー・ソルジャーはサイドにボールを預け、センタリングか逆サイドにふる、

特徴的な攻めを見せます。しかし容易にパスを通させないビクトリーロード!

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10#北沢選手から8#吉沢選手へライン際のパス。吉沢選手が鋭くそれを中へ振るも、

10#木下弘貴選手が食い止めチャンスを作らせません。

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攻め手を変えて6#内橋選手がサイドを駆け上がるも15#安井悠馬選手がそれを封じる!

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互いに一歩も譲らず、後半20分が瞬く間に過ぎて行きました。

泣いても笑っても、10分後にはどちらかが篩い落とされる延長戦へ…。 

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徹底的に6#内橋選手に仕事をさせない3#山田選手。凄まじい集中力です。

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そして延長後半開始1分でした。ついに試合が動きます。

CKを獲得したレインボーソルジャーは、3#村石選手を自陣に残すも、

決着を急いだのか前掛かった位置取り。その些細な違和感を見逃さなかったのは、

守備で再三ピンチを防いでいた3#山田選手でした。

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10#北沢選手のCKは6#内橋選手のもとへ。その打ち損じを11#中井選手が防ぐと、

こぼれ玉を相手陣めがけて思いっきり蹴りこみます!その距離約16m。

自陣に残っていた3#村石選手も前掛かりのポジション。虚をつかれた3#村石選手が

追いすがるも届かず、ボールはゴールへと吸い込まれていきました。

見ていた誰もが(もちろん私も)声を上げた、衝撃的なゴールでした。

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レインボー・ソルジャーらしからぬミス、優位に立ったビクトリーロード。

試合はそのままタイムアップを迎え、電光掲示板には2−1の表示が。

ついにレインボー・ソルジャーが決勝を前に敗れ去りました。

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待望の勝利で喜びの表情を見せるベンチのスタッフ達と39#大代監督。

チームの緊張を和らげ、鼓舞し、誰よりも怒り、誰よりも喜ぶ。

そんな監督の元だからこそ成し遂げた勝利かもしれません。

レインボー・ソルジャーの攻めはその場にいたすべての人を魅了する、

攻撃的なサッカーでした。しかし、奈良クラブ・ビクトリーロードは執念で

それを上回るパフォーマンスを見せ、それが身を結んだのです。この試合は、

奈良クラブ・ビクトリーロードのクラブ史を書き換える、確かな1歩となりました。

試合後、レインボー・ソルジャーのサポーターが一斉に声を上げます。

「ビクトリーロード!ビクトリーロード!ビクトリーロード!」

それは勝利にふさわしい試合をしたビクトリーロードへの敬意の声であり、

来年、再び決着をつけよう!という誓いの声のようにも聞こえました。

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準決勝 (A コート)RESULT

奈良クラブ・ビクトリーロード(関西1位)2 VS 1 レインボー・ソルジャー

(北海道・関東2位)

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⑥へ続く

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「パラキートのパラスポーツ日記」では、一人の障害者サッカーファン「パラキート」が自分の脚でおもむき、自分の目で観て、自分の耳で捉え、自分の指で撮り、自分の頭で考えたママを発信していきます。

記事を通して、競技を取り巻く人・環境・社会問題に触れ、この魅力的な世界に関心を寄せ、寄り添ってくださる方が増えることを願っています。

プログラム制作・HP管理/「PickPhat(ピックファット)」

『"Pick"=掴み取る、選ぶ」と「"Phat"=格好いい、イカした』を組み合わせた造語を屋号に掲げる「PickPhat」。クライアントの意思を尊重し、選び抜いてイカしたサイトをクライアントと共に作り上げます。代表の加藤高明氏は電動車椅子サッカーチーム「Yokohama BayDream」の選手としても活躍中。

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