波乱!〜観戦記④ 第22回日本電動車椅子サッカー選手権【2016.10.22〜10.23】

  • 電動車椅子サッカー

波乱巻き起こる準々決勝

横浜クラッカーズの準々決勝の相手は3月のドリームカップで苦杯を舐めた相手、

Nanchester United 鹿児島(九州1位)です。

3月の敗戦のリベンジマッチとなるこの試合、選手たちに気負いは感じられず、

時折笑顔もこぼれ、メンタル面でも準備は整っているようでした。

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対するNanchester United 鹿児島は、初戦でハットトリックを決めた

日本代表候補10#東武範選手と同じく2得点の11#塩入新也選手を中心に、

高い決定力を武器とするチームです。

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準々決勝突破をサポーターに誓うクラッカーズメンバー。

しかし前半の立ち上がり、一瞬の隙を突かれ10#東選手に先制点を許してしまいます。

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組織だった守備でクラッカーズの攻撃を抑えるNanchester United 鹿児島。

クラッカーズも焦ることなく冷静に試合を進めていきます。

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そして前半終了間際、セットプレイから10#竹田選手のアシストで

17#永岡選手が値千金の同点弾!

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ゴールの瞬間沸き立つサポーター!ほっとしたような表情を見せる応援団長(左端)。

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思うように攻めていけない状況に焦りを感じてかミーティングは熱を帯びました。

Nanchester United 鹿児島の守備の巧みさもあり、

後半に入っても思い通りの攻めができないクラッカーズ。

さらに審判の笛が増え、試合が何度も止まります。

2on1(半径3メートル以内に2人以上の選手が入ってはいけないルール)

適用が増えてきたのです。

ペナルティエリア内で笛が吹かれたように見えたシーンもありました。

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クラッカーズサポーターもいつの間にか誰も声を出さなくなっていました。

たまらずスタッフが頭上のサポーターに「応援してくれ!」と呼びかけます。

「何かがおかしい」スタッフ、サポーターの間に妙な空気が流れている感じです。

それはおそらく、コート上の選手たちにも伝わったに違いありませんでした。

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口数が少なくなるスタッフたち。

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それでも選手は最後まで流れの中の勝利を目指します!

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時間はどんどん過ぎていき、結局、互いに効果的な攻めができないまま終了の笛。

準々決勝は延長戦がないため、勝負の行方はPK戦に持ち込まれることになりました。

幕切れは突然に

PK戦ゴールラインから3.5mの距離からのキックで行われ、

1巡して決着がつかない場合は5mラインにボールを移動して再び1巡します。

PK戦で決着がつかない場合、両チームの代表者が

6枚のカードの中からアタリを引くまで延々カードを引き合う「抽選」になります。

横浜クラッカーズは直前の関東大会決勝でコイントス抽選での敗退を経験しただけに、

「抽選」による勝敗決定は、何としても避けたいところ。

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横浜クラッカーズGKは10#竹田選手!

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Nanchester United 鹿児島のGKは10#東選手。クラッカーズの先攻でスタート。

両者きっちりとPKを決めていきますが、17#永岡選手のPKが防がれてしまいます。

サイドから見て、笛がなる前にGKが動いているように見えましたが、判定は覆らず。

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最終PKキッカーNanchester United 鹿児島最年少、14#リュウト選手が決め万事休す。

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喜ぶNanchester United 鹿児島。試合自体は両者全力を尽くす好試合でした。

しかし誰もが皆「悔しい」とも「惜しい」ともつかない、

何とも形容のし難い複雑な面持ちだったのは間違いありません。

誰かがつぶやきます。「選手は何も悪くない。悪いのは何か別の作用だ」と。

前回大会ベスト4という悔しい結果を見返そうという思いで臨んだ今大会、

横浜クラッカーズは2回戦敗退という、誰も想像しなかった形で今大会を終えました。

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しかし、2試合ともベストなパフォーマンスを見せた結果だったことは確かです。

来年の日本選手権に向け、大きな課題も見つかったと思います。

それは、選手だけでなくスタッフやサポーターのあり方、

チームの方向性にすら一石を投じたに違いありません。顔を上げて前向く選手たちに、

サポーターの惜しみない拍手はいつまでも鳴り止みませんでした。

期待膨らむ準決勝の組み合わせ

優勝候補の横浜クラッカーズが早期に敗退し不穏な空気になる中、Aコートでは

奈良クラブ・ビクトリーロード(関西1位) VS Wings(中部2位)の試合が

行われていました。

写真こそ撮れませんでしたがすごい試合だったことは歓声からもうかがい知れました。

奈良クラブ・ビクトリーロードの11#中井皓寛選手が6点を叩き出す圧巻の活躍で、

8-0という圧倒的なスコア差での勝利を納めていたのです。

実力が均衡する2回戦でここまでの大差をつけるというのは難しく、

4回の日本選手権優勝、5回の準優勝という輝かしい戦績を持つ奈良の名門クラブは、

存分に暴れまくり、今大会一番の注目株に躍り出ました。

またこの日の最終戦、優勝候補筆頭のレインボー・ソルジャー(北海道・関東2位)

と、ERST広島M.S.C.を破った金沢ベストブラザーズ(北陸1位)の試合が行われ、

レインボー・ソルジャーは6#内橋翠選手のハットトリックで4-2の勝利。

もう一試合、FCクラッシャーズ(中部1位)とRed Eagles 兵庫は、

注目の10#有田正行選手らが得点。

FCクラッシャーズが猛追するも及ばず、Red Eagles 兵庫が4-3で勝利しました。

Red Eagles 兵庫は日本選手権ではほぼ毎大会ベスト4以上に残る常連で、

日本代表経験のある10#有田選手を中心としたチームです。

横浜クラッカーズも順当に進んでいれば当たるのではないかと警戒していた

チームでしたが、やはり勝ち残ってきました。

この結果、2日目の準決勝の組み合わせは、

レインボー・ソルジャー VS 奈良クラブ・ビクトリーロード

Red Eagles 兵庫 VS Nanchester United 鹿児島

に決定。

いやでも期待が膨らむ4チームが、明日の最終日に激突します。

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二回戦終了時の試合結果一覧

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2回戦 第一試合(A コート)RESULT

奈良クラブ・ビクトリーロード(関西1位)8 VS 0 Wings(中部2位)

 

2回戦 第一試合(B コート)RESULT

Nanchester United 鹿児島(九州1位)1 PK5-4 1横浜クラッカーズ(北海道・関東1位)

                  

2回戦 第二試合(A コート)RESULT

Red Eagles 兵庫(関西2位)4 VS 3 FCクラッシャーズ(中部1位)

 

2回戦 第二試合(B コート)RESULT

レインボーソルジャー(北海道・関東2位)4 VS 2 金沢ベストブラザーズ(北陸1位)

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ババンバ・バンバン・番外編♪

長時間の移動と睡眠不足に加え、重い機材一式や宿泊道具全てを抱えて

(荷物置いていけばよかったのに)大阪の街を駆けずり回ったパラキート。

横浜クラッカーズの早期敗退のショックもあり、この日はもう飛べませんでした。

しかしそれ以上に気力を使い果たした応援団長&スタッフの渡辺恭士&泰輔氏ご兄弟。

口の重い三人を乗せた車は、一路、寝屋川へと向かいます。

向かったのは寝屋川市に長く店を構える「新町温泉」。

お二人のご厚意に甘え、クラッカーズの創設期の元スタッフであり

お二人にとって十数年来の親友である向井さんの経営する銭湯に、

1泊させていただくことになったのです。

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今はすっかり珍しくなったネオンの電飾が昭和の風情!

軟水炭酸水の温泉は大阪初だそうです。

電気風呂、打たせ湯、漢方風呂など、いろいろなお風呂が満喫できます。

なんと2階にも湯船があり、露天風呂になっていました。

この日も夜遅い時間だったにもかかわらず、お客さんがたくさん来ていました。

夕ご飯は銭湯から歩いて1分のお好み焼きやさんで。

閑静な住宅街にあるお店なので、地元のお客さんがメインです。

そういうお店の方が落ち着いていて美味しいのは相場が決まっています。

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豚玉、コーン玉、とん平焼き、焼きそば。粉もんオンパレード!

向井さん親子と渡辺兄弟は本当に久しぶりの再会、思い出話に花が咲き、

苦い敗戦を忘れられるようなひと時を過ごすことができたようです。

また向井さんのお子さんはプロゴルファーを目指しているんだとか。

小学生の部で全国2位を取ったそうです。2020の楽しみがもう一つ増えました。

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宿泊させていただいたおうちでもすでに様々なおもてなしのご用意をしていただいて、

本当に感謝の気持ちでいっぱいになりました。

そして向井さんの心遣いとおもてなしの心に、つかれも完全に吹き飛んでいました。

しかしここで緊張の糸も完全に切れ、二人は泥のように眠り、

私も新しいカメラの説明書と格闘しながら、いつの間にか寝落ちしていたのでした。

大阪の人情味で満たされた一夜。向井さん、本当に有難うございました!

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大阪に遊びに来て疲れた時は、ぜひ新町温泉へ。

風呂上がりのフルーツ牛乳の味は最高でした!

osaka268.com

さあ、明日は早くも最終日!!

⑤へつづく

パラキートのパラスポーツ日記とは

「パラキートのパラスポーツ日記」では、一人の障害者サッカーファン「パラキート」が自分の脚でおもむき、自分の目で観て、自分の耳で捉え、自分の指で撮り、自分の頭で考えたママを発信していきます。

記事を通して、競技を取り巻く人・環境・社会問題に触れ、この魅力的な世界に関心を寄せ、寄り添ってくださる方が増えることを願っています。

プログラム制作・HP管理/「PickPhat(ピックファット)」

『"Pick"=掴み取る、選ぶ」と「"Phat"=格好いい、イカした』を組み合わせた造語を屋号に掲げる「PickPhat」。クライアントの意思を尊重し、選び抜いてイカしたサイトをクライアントと共に作り上げます。代表の加藤高明氏は電動車椅子サッカーチーム「Yokohama BayDream」の選手としても活躍中。

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