- 電動車椅子サッカー
「脚を使わない」サッカー
私が初めて電動車椅子サッカーに出会ったのは、
今年2月末に横浜・大桟橋で開催された「よこはま大桟橋フェスタ2016」のとき。
「パラスポーツinよこはま大さん橋」という
横浜のパラスポーツ活動を紹介するブースの運営をお手伝いした際、
横浜市で活動する関東の強豪、電動車椅子サッカーチーム「横浜クラッカーズ」と
ご一緒にお仕事をさせていただいたのが最初でした。
(パラスポーツにハマったきっかけがこのイベントだったんですがそれはまた後日)
横浜クラッカーズコーチ(当時)の眞島哲也氏、同チームの永岡真理選手に
お話を伺いながら少しずつ電動車椅子サッカーを知るにつれ、
その魅力や選手たちの競技にかける想いを知りました。
そして、もともとサッカーやフットサル好きな自分には当然の帰結かもしれませんが、
いつの間にかこの「脚を使わないサッカー」への興味が
大きく膨らんでいったわけです。
↓ 「女性初の日本代表としてのW杯出場」を目指す、
横浜クラッカーズ永岡選手が主宰するブログです。
競技のことだけではなく、選手として、障害者として、一人の女性として、
様々なことを日々更新されています。ぜひご一読ください!!
それ以来、自分の住む地域で活動する横浜クラッカーズ は、
(もう1チーム、横浜bay Dreamというチームがあります)
横浜市民にとっての横浜DeNAベイスターズ、横浜・F・マリノスのように、
私にとって気にかかるチームの一つになっています。
チーム内の雰囲気が魅力的な「横浜クラッカーズ」©埼玉県電動車椅子サッカー協会
さて、そんな横浜クラッカーズにとって年内最後の大きな大会となる
第22回日本電動車椅子サッカー選手権大会が、2016年10月22日(土)〜23日(日)の
2日間、「大阪市舞洲障害者スポーツセンターアミティ舞州」で開催されます。
http://www.web-jpfa.jp/admin/news/pdf/p11117740566.pdf
5月の北海道・関東ブロックの予選を皮切りに全国各地で行われた
予選大会を勝ち抜いた15のチームと、開催ブロック(関西)枠1チームの
合わせて16のチームで、日本の頂点を争うことになります。
我らが横浜クラッカーズは北海道・関東ブロックを勝ち抜き、出場が決まっています。
同じ北海道・関東ブロックからは、予選で激しく競り合った
日本代表 北沢洋平選手擁する優勝候補筆頭「レインボー・ソルジャー(東京)」、
同じ横浜を拠点として、長く切磋琢磨してきた盟友「横浜ベイドリーム(神奈川)」
そして予選4位で通過した「FINE(東京)」。
横浜クラッカーズ平野誠樹監督 ©埼玉県電動車椅子サッカー協会
トーナメントの一回戦で早くも横浜クラッカーズは横浜ベイドリームと
対戦するという当たりの悪さですが、勝手知ったるチーム同士の初戦は
むしろ盛り上がることは間違いなさそうです。
トーナメント表(日本電動車椅子サッカー協会HPより引用)
パラキート的観戦ポイント
観戦歴半年の私が、初めてみる全国大会の見どころ解説などできるわけもないので、
個人的に楽しみなチームや選手を、予習を兼ねて見ていきたいと思います。
まず、同じ北海道・関東ブロック選出でありながら、
トーナメント1回戦でいきなりの顔合わせとなった
横浜クラッカーズ(北海道・関東ブロック1位)と
横浜ベイドリーム(北海道・関東ブロック3位) 。
写真:第19回ドリームカップより
爽やかな青の横浜ベイドリーム(左)と深紅の横浜クラッカーズ(右)。
元は一つのチームだった両雄。関東大会など過去何度も対戦し、
お互いの手の内はほぼ知り尽くしているであろう両者が、
ノックダウン方式の今大会の初戦でどのような作戦を立ててくるのか、
非常に興味のある一戦です。
横浜クラッカーズで注目している選手は17#永岡真理選手。
2013年日本代表に選出され、2017年のW杯出場を目指しています。
私が初めてお会いした電動車椅子サッカーの選手がこの永岡選手。
大桟橋フェスタの下見で永岡選手が見せてくれた高速回転には度肝を抜かれました。
横浜クラッカーズ17#永岡真理選手 ©埼玉県電動車椅子サッカー協会
そのほか、横浜クラッカーズには
7#三上勇輝選手、9#紺野勝太郎選手、10#竹田敦史選手など、日本代表候補選手が
多く在籍しており、こちらも要注目です。
横浜クラッカーズ7#三上選手と9#紺野選手 ©埼玉県電動車椅子サッカー協会
この試合の勝者と当たるのが、
鹿児島のNanchester United 鹿児島(九州ブロック1位)の勝者。
Nanchester United 鹿児島は、3月の第19回ドリームカップで
横浜クラッカーズを2-0で下しています。
私も悔しい思いをしながら試合観戦していましたが、
連携に優れたチームという印象が個人的な感想でした。
2013年の国際大会APOカップでは塩入新也選手はじめ
3名が日本代表入りするなど、九州の強豪チームです。
横浜クラッカーズと並んで、過去の観戦で常に注目してきたのが
レインボーソルジャー(北海道・関東ブロック2位)。
常に優勝候補に挙げられ、数々の結果を残してきた超強豪です。
なかでも、日本代表ではキャプテンを務めた8#吉沢祐輔選手、
9月の関東大会でMVPに輝き、日本代表でもある10#北沢洋平選手、
そしてドリームカップで4得点をとった6#内橋翠選手の3選手は、
皆日本代表候補選手とあって一つ一つのプレーに迫力があり、とにかく存在感の塊。
レインボーソルジャーのメンバー。 写真:第19回ドリームカップより
黄色いビブスの選手が北沢選手。
横浜クラッカーズ7#永岡選手とレインボーソルジャー10#北沢選手のマッチアップ。
©埼玉県電動車椅子サッカー協会
関東大会&北海道・関東ブロック予選大会でともに度肝を抜かれたのが
この6#内橋選手と、横浜クラッカーズ17#永岡選手の、女性選手同士による
激しいぶつかり合いでした。すごい音を立てながらバンパーを激突させあう両者。
重量のある車体が一瞬跳ねるほどの凄まじい衝撃。
「静のスポーツ」のイメージがある中で、「動」の部分の象徴のような
鮮烈なプレーでした。
内橋選手(右)と永岡選手のマッチアップは凄まじい迫力 ©埼玉県電動車椅子サッカー協会
組み合わせでは決勝まで顔を合わせることはありませんが、
ぜひこの日本一を決める大会で、両者の激突を見たいところです。
そのほか注目しているのは、ERST 広島M.S.C(中国ブロック2位) の
選手兼監督 中野勇輝選手。
彼も2013年の国際大会で日本代表に選ばれた一人です。
ご自身の病気のことを書籍として出版されている方でもあり、
筋ジストロフィーについての啓蒙もされています。
Facebookで繋がらせていただいて、関西の様子はそちらで見ていましたが
実際にお目にかかるのは初めてで、個人的にとても楽しみにしています。
そしてもう一人は、Red Eagles 兵庫(関西ブロック2位)の有田正行選手。
3歳から脊髄性筋萎縮症と戦ってきました。
Red Eagles 兵庫の立ち上げに関わり、2011年には日本代表選出。
フランス大会で得点王に輝いたこともあるそうです。
有田選手は、電動車椅子サッカーでアメリカW杯に行くための支援を
クラウドファンディングで募っていることでも最近話題になりました。
競技車のメンテナンスには多額の費用がかかること、
また人的な介助が常に必要な彼らにとって、
練習や遠征に参加するだけで相当な出費となり厳しい状況に置かれていることを
クラウドファンディングを通じて世間に訴えたのです。
華やかな競技の陰で、選手たちが抱える問題なども知ることで、
より多角的な視野で競技を見ることができるのではないかと思うのです。
以上、今大会で私が注目する選手たちでした。
22日に開幕する第22回日本電動車椅子サッカー選手権大会。
全国から集まった選手たちが、どんな表情で、どんな結果を見せてくれるのか
とても楽しみです。
さて、次回の記事は電動車椅子サッカーとはどんな競技なのかを
もう少し詳しく触れてみたいと思います。
(了)