デッドヒート!〜第23回電動車椅子サッカー日本選手権⑥ POUERFUL 6準決勝

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大会は2日目、日本一のチームが決まる運命の日

目が覚めて窓を開けると、昨日同様、外は爽やかな快晴でした。今回宿泊したホテルは会場から徒歩10分ほどで、実は大会出場チーム関係者も利用していたため、朝食のブッフェでは選手やご家族の皆さんとも一緒に。決戦の時を控え、みな一様にリラックスしているようでした。大会は2日目を迎え、いよいよ今大会の王者が決まります。

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会場ではすでに時速6kmカテゴリの準決勝2試合に向けての準備が整い、キックオフを待つだけ。さあ、決勝の椅子を賭けて、ベスト4が激突します!

POWERFUL6 準決勝第1試合 Safilva(北海道) vs 大阪ローリングタートル(大阪府日本選手権初出場ながら、8#桜庭選手を中心に見事な内容で勝ち進んできたSafilva。北海道の大地に初のタイトルをもたらすことができるか、注目が集まります。

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一方の大阪ローリングタートルも、古豪として貫禄のある試合運びを見せ、大会前予想通りに勝ち上がってきました。キャプテン6#宮脇選手を軸に、タートル(亀)の名の通り無失点に抑える堅守が光ります。

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試合開始と同時に猛然と攻め込むSafilvaでしたが、その勢いが仇に。前半2分、大阪ローリングタートルのカウンターで、キャプテン6#宮脇選手が早くも先制点。この得点をきっかけに、次第に主導権を握り始めます。

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大阪の攻撃の先鋒は39#宮川選手。キャプテンの指示を受けながら守備に攻撃にと存在感を発揮します。

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GK13#加川勇羽馬選手はかなり前目の位置取りで、隙をうかがっては前線にパスを供給。時にはゴールマウス6#宮脇選手にまかせ、センターライン際まで上がってくる積極的なプレーを仕掛けます。2回戦までで単独5得点をあげた8#桜庭選手も守備に追われ、攻撃に転じることができません。

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相手陣には4#鳥山巧選手が展開。普段は攻撃的な役割の18#竹山選手がゴール前で守備に追われるシーンも目立ちました。

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SafilvaはGK5#社本公平選手が39#宮川選手の攻撃を防ぐも、前半12分、その39#宮川選手に2点目をねじ込まれ失点。祝福を受ける39#宮川選手。

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その後も13#加川選手に3点目を決められ、Safilvaは大阪ローリングタートルの術中にはまってしまいます。

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3-0で前半を終えたハーフタイムのベンチは、両者静かな雰囲気。後半戦に向けて、意識を高め集中するSafilvaメンバー。互いに向き合いながら、バンパーを重ね合わせ、気持ちを集中していきます。

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一方の大阪ローリングタートルも、ベンチには楽観ムードは皆無でした。前半でのミスや気になった箇所の改善点を互いに話し合います。

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後半も前半と同じく、8#桜庭選手を中心に攻め込むSafilva陣営。

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4#千葉絵里菜選手も前線にチャンスを狙いますが、ボールがなかなか繋がりません。

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そして後半8分、2on1のファウルを宣告し、貝谷主審がFKを告げる笛を吹きます。

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キッカーは39#宮川選手。狙いを済まして放たれたシュートは13#加川選手のブラインド越しに決まり4点目!

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技巧冴え渡る39#宮川選手のだめ押し決勝点でした。精悍な顔立ちに合わせ、常に冷静にプレーする印象の39#宮川選手でしたが、手元では思わず渾身のガッツポーズ。

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ベンチもほぼ勝利を確信したじか、表情が緩みます。

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この時点で勝負はほぼ決していましたが、Safilvaは意気消沈する事なく、攻め続けました。1分でも長く、1点でも多く。その一つ一つが糧になると信じて。

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しかし、試合はその後動く事はなくそのまま終了。大阪ローリングタートルが貫禄の4得点で、日本選手権Finalの切符を掴み取りました。そして文字通り堅い守備は、Safilvaにも点を許すことはありませんでした。4#鳥山選手は安堵の表情。

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キャプテンの6#宮脇選手は満面の笑み。久しぶりに大阪の古豪が決勝の舞台に帰ってきます。

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試合終了後、この試合で線審を務めた綱渕審判もSafilva陣営にそっと駆け寄り、声をかけます。「遠いところを参加してくださり本当にありがとうございました。来年もまた、お待ちしています」と。

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Safilvaの挑戦はここで終わりました。しかし遠く北海道から参戦し、エントリーメンバー4人で熱い展開を見せてくれたSafilvaを讃える拍手と歓声が、会場内に大きく響き渡っていました。

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POWERFUL6 準決勝第2試合 SFCデルティーズ(静岡県) vs 兵庫パープルスネークス(兵庫県地元開催の日本選手権での初優勝を視界に捉えたSFCデルティーズ。1回戦は開始1分の先制点を守り抜き、2回戦は0-0PK戦での勝利と、守備一徹のスタイルを貫いてきました。前哨戦となるあいちサッカーアカデミーでは、兵庫に後塵を拝したSFCデルティーズ、地元の意地にかけてここは勝ちに行きたいところ。

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対する兵庫パープルスネークスは、9#松原和彦選手と99#名田賢伍選手のコンビネーション、そして選手層の厚さを武器にここまで登ってきました。優勝候補の一角とも目される兵庫パープルスネークス、負けられない試合が始まります。

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試合開始前の両軍ベンチ。それぞれ円陣を組み、選手たちが送り出されていきます。あと2回勝てば優勝が見える位置まで来た両チーム、気持ちの入り方が違います。

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試合が始まると、9#名田選手、99#松原選手がゴールに迫ります。SFCデルティーズの攻撃の要2#石脇将太選手も、兵庫パープルスネークスの攻撃を防ぐのがやっと。

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得点源が守備に奔走させられているSFCデルティーズも、過去2試合を無失点に抑えてきた堅守。そう簡単には兵庫パープルスネークスにゴールを割らせません。2#石脇選手が少ないチャンスに攻撃を仕掛け、戻ってはメンバー全員で守る、という粘りの展開が続きます。

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そしてその粘りがついに実を結びます。前半14分、CKを完璧なコースにけり込んだ2#石脇選手が先制点。

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格上パープルからもぎ取った先制点に、SFCデルティーズベンチは興奮沸騰!

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しかし何が起こるかわからない、魔の準決勝。兵庫パープルスネークスも甘くはありませんでした。直後のキックオフから獲得したセットプレイを、9#松原選手→99#名田選手ときっちりとモノにし、あっという間に同点。試合を振り出しに戻します。

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意気消沈しかけたチームを救った値千金の同点弾に、駆け寄るチームメイト。

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ここでSFCデルティーズは1#大手千輝選手を下げ、4#市川貴映子選手を投入。2#石脇選手のセットプレイを4#市川選手に合わせるも、得点できません。

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そしてそのまま前半終了。

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後半、1#大手選手のジョイスティックが外れるアクシデントが発生。そんな状況にも耐え、後半戦も必死の守りで得点を与えなかったSFCデルティーズ。10#松原優作選手のドリブルでの持ち込みにも耐え、しっかりと守備的スタイルを貫きました。

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そして試合は前後半でも決着つかず、今大会初の延長戦に突入。延長戦では兵庫パープルスネークスが怒涛のシュートラッシュ!しかしそのたびに8#中村康則選手が跳ね返していきます。

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対するSFCデルティーズも、相手ゴールを割るまであと一歩のチャンスが何回か訪れます。得点機会を逸するたびに悲鳴が起こるSFCデルティーズ陣営。

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結局延長戦でも決着はつかず、PK戦に。ここまで優勢と見られていた兵庫パープルスネークス、遂にわからなくなってきました。先攻後攻を決めるコイントスも、コインが立ったまま静止するという珍事。コインですら勝負の行方を占うことができません。

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PK戦SFCデルティーズの先攻でスタート。両者一人も失敗することなく、勝負はサドンデスに!

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冷静に状況を見つめる兵庫パープルスネークス松原守彦監督。

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チームカラーの緑とオレンジに染められたネイルが光る両手を、祈るように合わせるSFCデルティーズ持山侑子監督。

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そしてキッカーは兵庫パープススネークス99#名田選手。これまで要所要所で得点を上げてきたエースは、2#石脇選手の右を狙ってシュートを放ちますが、2#石脇選手の読みが勝ちました。車体に当たって力なく跳ね返っていくボール。そしてホイッスルが!

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SFCデルティーズ、大方の予想を覆す快進撃で、ついに日本選手権のファイナルへと駒を進めました!張り詰めていた空気が一気に解放された瞬間。ベンチの監督やスタッフの目にはうっすらと涙が。

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一方の兵庫パープルスネークスベンチは悔しさをにじませつつも、ここまで最高の試合を戦ったメンバーに労いの表情を見せていました。

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勝敗を分けた要因はなんだったのか、もはやそれすらもわからないくらい全力を尽くした両者。彼らの試合は、多くの観客や同じカテゴリのチームの心を揺さぶったに違いありません。

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いよいよPOWERFUL6の決勝カードが決まりました。大阪ローリングタートルが王者に返り咲くのか、それともSFCデルティーズが地元での戴冠を果たすのか。新しい時代の王者はどちらになるのか、注目が集まります。

⑦へ続く

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『"Pick"=掴み取る、選ぶ」と「"Phat"=格好いい、イカした』を組み合わせた造語を屋号に掲げる「PickPhat」。クライアントの意思を尊重し、選び抜いてイカしたサイトをクライアントと共に作り上げます。代表の加藤高明氏は電動車椅子サッカーチーム「Yokohama BayDream」の選手としても活躍中。

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